知っておきたい基礎知識を増田弁護士がわかりやすく解説！NFTって何？ 監修 増田雅史（弁護士・一橋特任教授）
AI・Web3・メタバース等の先端領域で法実務・法政策に関与されている「IT・フィンテック・知的財産」のスペシャリスト、増田雅史弁護士が「NFTに関する基礎知識」を分かりやすく解説します！
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NFT（Non-Fungible Token）は日本語に訳すと「非代替性トークン」と呼ばれ1つ1つが異なるものとして発行することができるデジタルトークンのこと。替えのきくトークン（FT=代替性トークン）であるビットコインはAさんとBさんがそれを交換しても結果として同じことですが、NFTは
1つ1つが異なるものとして発行・取引できます。
引換券や代用貨幣のこと。ブロックチェーン上で発行される取引対象全般は「デジタルトークン」だが、これを単にトークンと呼ぶのが一般的。このうち、個性がなく
代替可能な（ファンジブルな）トークンが、ビットコインに代表される暗号資産で
あり個性があり代替性のないものがNFT。 -
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NFTには、技術的にみて2つの大きな特徴があります。1つ目は「唯一性」です。NFTは、ブロックチェーン技術によって1つ1つが異なるものとして
発行することができます。2つ目は「取引可能性」
です。
ブロックチェーンの仕組みを利用して、信頼性
安全性の高い形で発行・流通できます。
暗号資産を扱う基盤技術として開発された、取引履歴をまとめた台帳のようなもの。インターネットに接続した複数のコンピューターで、ブロック単位の記録をチェーンのようにつないで記録する。取引記録の改ざんが難しいなどの特徴がある。
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2021年にデジタルアーティストのBeeple氏が制作したデジタルアート作品のNFTが出品され、日本円にして約75億円という高値で落札されたことで、NFTが大きな話題になりました。それをきっかけに続々とデジタルアート作品や映像
コンテンツなどのNFTが高額落札され、デジタルコンテンツの領域を中心として、NFTは世界的なブームとなりました。
さらに
・ クリエーターやゲーム開発者にとってはコンテンツがあれば気軽に参入できる
・ アートやスニーカーのように視覚的なコンテンツが多くわかりやすい
という点が話題を集めた要因となりました。 -
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ゲームキャラクター
NFTが広まるきっかけとなったのは2017年にリリースされた
世界初とも言われるブロックチェーンゲーム「CryptoKitties」
です。著名なブロックチェーンであるイーサリアムブロックチェーン上に、NFTを利用して1つ1つ異なる個性をもつ「猫」を発行して
取引するというゲームで、その目新しさもあって「猫」トークンの価格が高騰するなど
当時かなり注目を集めました。
スポーツ業界
プロスポーツ界でもさまざまなコンテンツがNFT化されました。この分野で比較的初期のころに特に注目を集めたのは「NBA Top Shot」という、NBA選手のシュートシーンの動画などをトレーディングカードのように購入・取引できる仕組みで、CryptoKittiesのときのように人気選手のカードがかなり高騰するなど大きな注目を集めて、国内外で類似のサービスも多く登場しました。
ファントークン
応援しているスポーツチームが発行しているトークンを購入することで、そのトークンを持っているファンだけが招待される選手との交流イベントや限定アイテムをもらえる、ユニフォームのデザインを決める投票に参加できるなど、トークンをファンクラブの会員権のように扱うサービスも登場しています。こうしたカテゴリは「ファントークン」
と呼ばれたりすることがあります。
RWA（リアルワールドアセット）
ホテルの宿泊権をNFTとして発行・流通させる、製造中のアルコール製品を将来受け取れる権利をNFT化する、などのように
特定の商品やサービスの提供を受ける権利をトークン化する試みが近年増加しています。こうした分野はリアルワールドアセット
つまり現実世界の資産に紐づいたトークンということで、「RWAトークン」と呼ばれたりします。 -
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保有者と直接取引をする「相対取引」と、NFTマーケットプレイスを利用して購入する方法があります。一般的にはNFTマーケットプレイスを利用します。国内外に様々なNFTマーケットプレイスがありますが、取り扱っているコンテンツや手数料、具体的な利用方法などが異なるため、用途に合わせて選ぶ必要があります。
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NFTは、ブロックチェーン上の「しるし」のようなものにすぎず、実際に何を取引しようとしているのかをよく確かめることが重要です。例えば、NFTによってデジタルアートの「所有権」を取引できるわけではありません。デジタルデータ自体には、法的な意味での
所有権は発生しないからです。2021年のブームのころには、法的な権利がはっきりとは
伴わないものが多く販売されていました。
最近は、NFTを持っているとどんな特典があるのかが初めから明確化されているものが
増えていますが、いずれにせよ、NFTを持っているから当然に何らかの権利があるという
わけではありません。購入する際には、発行者が決めた規約や、販売者による説明をよく
確認することが大切です。
また、いわゆる「偽物」（海賊版NFT）にも注意が必要です。特に2021年のブームのころには、何者かが正規のデジタルコンテンツを勝手に
紐づけたNFTを発行して販売するケースが頻発し、中には権利者本人に
なりすますような悪質なケースもありました。 -
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NFTは今後デジタルコンテンツのコレクターアイテムなどの取引に
とどまらず、NFTの保有者に対して、例えばNFTに対応するゲーム内
アイテムの利用権やイベントの参加権または宿泊施設への宿泊権を与えたり、プロスポーツの世界で選手との交流イベントに参加できるVIP権としてNFTを販売するなど、企業が特典やサービスの権をNFT購入者や保有者に与える事例が近年増えてきています。
また、ブロックチェーンという共通の取引インフラを使うことができることにより、事業者にとってもサービスの開発や提供のコストを小さくすることができその点でも注目が高まっています。
このように、ブロックチェーンを利活用する新しいインターネットの形は「Web3」とも呼ばれています。NFTは、そのWeb3を支えるインフラ・基礎的なコンセプトの1つとして
普及していく可能性があります。特定の管理者がいないブロックチェーン技術によって実現する、新しいインターネットの利活用形態。情報の発信者と閲覧者が固定されて一方向だった「Web1.0」や、SNSなどの情報の発信者と閲覧者の双方向でコミュニケーションする「Web2.0」に対し、特定のプラットフォームに依存せず誰でも情報の管理に参加できる可能性がある仕組みとして、近年注目が高まっている。
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動画
NFTの現在地と将来性
【増田弁護士がわかりやすく解説】
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IT全般の法務に広く精通。日本オンラインゲーム協会アドバイザー、ブロックチェーン推進協会アドバイザー、日本暗号資産ビジネス協会NFT部会法律顧問・ブロックチェーンゲーム部会顧問。『新NFTの教科書』、『いまさら聞けないWeb3、NFT、メタバースについて増田雅史先生に聞いてみた』など著書多数。
森・濱田松本法律事務所外国法共同事業 パートナー弁護士（日本国・ニューヨーク州）。一橋大学特任教授（Web3・メタバースと法）。