CODAは株式会社集英社からの要請を受け、スペインに所在するオンライン広告配信事業者(以下、当該広告事業者)に対し、日本コンテンツを侵害する海賊版サイトへの広告の配信を止めるよう要求を行い、この度、これらの広告が取り下げられたことを確認いたしました。
海賊版サイトの多くは、広告収入を収入源としていることから、その対策は特に重要視されていますが、日本の権利者が海外の広告事業者に対して、具体的に広告出稿停止を要求したことは今回が初めてです。
当該広告事業者については、日本の漫画の海賊版サイトのうち27サイトにおいて広告が出稿されていることを確認したことから、CODAの国際執行プロジェクト(CBEP)リーガルディレクターを務める中島博之弁護士から現地スペインの法律事務所を通じ、2022年10月17日付でこれらの広告出稿の停止を書面にて要求したものです。
当該広告事業者からは、10月30日付で回答があり、広告事業者がサービスを提供するすべてのWebサイトの内容を把握することは不可能であるとした上で、今回の要求で指摘した27サイトすべてにおいて契約を解除し、サービスの提供を停止したこと、また今後についても知的財産権を侵害する者に対するサービス提供や契約を行わないことを徹底することなどを約束しました。
本回答を受け、10月30日以降、CODAでは指摘した27のサイトの調査を続けてまいりましたが、継続調査中の1サイトを除き、現時点でその他すべてのサイトについて、当該広告事業者からの広告はすべて停止されていることを確認しています。
日本国内では、著作権関連団体や広告関連団体が協力し、悪質な海賊版サイトを共有することで、海賊版サイトを広告掲載先から排除する取り組みを進めています(1) 。リストは、2カ月に1回程度の頻度で更新しており、現在では悪質な海賊版サイトには日本の健全な広告が掲載される機会は激減しました。CODAと広告関連3団体で設立した「海賊版サイトへの広告出稿抑制に関する合同会議(2) 」では、団体に所属していない広告事業者に対しても、海賊版サイトに広告出稿をしないよう協力要請を行うなどさまざまな活動を行っています。
また、CODAはこのリストを、世界知的所有権機関(WIPO)が開発・管理する「WIPOアラート」にも提供を行っており、このリストを活用している国・地域においても広告の出稿停止が期待されます(3) 。一方、世界にはアクセスを集める悪質な海賊版サイトに対し、積極的に広告掲載を推奨する広告事業者も存在しており、複数の海賊版サイトに共通の広告事業者を通じて広告が出稿されていることも珍しいことではなく、国境を越えた一層の対応が求められています。
CODAでは今後も、国内外における海賊版サイトの広告につきましても、引き続き対策を進めてまいります。
(1) 2018年6月8日 CODAと広告関連3団体は連携して著作権侵害サイトへの広告掲載抑止に向け定期協議実施を決定
https://coda-cj.jp/news/681/
(2) 2019年9月30日 「海賊版サイトへの広告出稿抑制に関する合同会議」を設置
https://coda-cj.jp/news/781/
(3)2020年10月2日 WIPOの情報共有プラットフォーム作成にCODAが協力
https://coda-cj.jp/news/459/