お知らせ 「第18回アジア知的財産権シンポジウム」を開催

 2024年11月27日、日本経済新聞社主催、経済産業省、不正商品対策協議会(ACA)、CODA共催による「第18回アジア知的財産権シンポジウム 『知財立国への再起動』-ケーススタディから考えるクールジャパン2.0-」を東京都千代田区の日経カンファレンスルームにおいて開催しました。本シンポジウムは、1998年より知的財産の保護と不正商品の排除を目的として開催しており、今回で18回目を迎えます。

 当日のプログラムは、自民党知的財産戦略調査会顧問の甘利明氏によるごあいさつでスタートしました。ごあいさつでは、わが国の「新たなクールジャパン戦略」における日本コンテンツの海外展開促進の再起動、海賊版対策における官民連携・国際連携・国際執行の重要性、またコンテンツ創造の生態系を確立する政策展開の必要性についてお話しいただきました。
 続いて関係省庁の取り組みとして、篠崎ほし江氏(警察庁 生活経済対策管理官付 知的財産権保護対策官)より「知的財産権侵害事犯 取締りの現状」と題して、知的財産権侵害事犯における取締りの現状と具体事例をもとに、そこから導き出される課題についてご講演いただきました。次に、佐伯徳彦氏(経済産業省 商務・サービスグループ文化創造産業課長)より「デジタル時代のクールジャパン戦略」と題して、コンテンツの海外展開促進における政策の現状、海外展開促進と海賊版対策における課題への取り組みについてご講演いただきました。

自民党 甘利明氏によるごあいさつの様子
シンポジウム会場の様子
警察庁 篠崎ほし江氏による講演の様子
経済産業省 佐伯徳彦氏による講演の様子

 続いて、前田哲男氏(染井・前田・中川法律事務所 弁護士)と後藤健郎(ACA事務局長、CODA代表理事)による「コロナ時代を経て変貌するコンテンツ産業」と題した対談が行われました。
 まず後藤健郎より、コロナ禍を経た日本コンテンツを巡る環境を踏まえ、CODAが経済産業省の支援を受けて実施する国際執行プロジェクト(CBEP)における海賊版サイトに対する対抗手段、各種課題をクリアした摘発事例、CBEPの成果における経済効果などを発表しました。その後、前田哲男氏とCBEPにおける海賊版サイト運営者特定や刑事摘発のための各国への対策と取り組みなどについて幅広くディスカッションを行いました。

ACA/CODA 後藤健郎よる対談の様子
弁護士 前田哲男氏による対談の様子

 続いて、フランス、シンガポールよりそれぞれお招きした国際刑事警察機構(ICPO)のFelix Avellan氏(Operation Coordinator pro-tempore, IP Crime and Digital Piracy Unit)とFerhat Cakmak氏(Criminal Intelligence Officer)に登壇いただき、「知財分野のサイバー犯罪と国際連携」と題してご講演いただきました。
 Felix Avellan氏からは、国際犯罪に対し世界196の加盟国を持つICPOで実施する法執行における調整の役割、国際犯罪データベースツールの紹介、国際犯罪に対する国際連携の必要性などについてご講演いただきました。またFerhat Cakmak氏からは、ICPOの活動におけるオンライン著作権侵害対策ユニットとして、韓国政府の支援に基づき実施しているI-SOP(Interpol Stop Online Piracy)プロジェクトについて、摘発の具体事例とともにご講演いただきました。

ICPO  Felix Avellan氏による講演の様子
ICPO  Ferhat Cakmak氏による講演の様子

 最後に、「知財立国再起動へのロードマップ」と題して、FirstBrave社(冠勇科技)のGrace Kim氏(Senior Vice President)、東宝株式会社の東幸司氏(コーポレート本部法務部知的財産室長)から、それぞれ知的財産保護に対する自社の取り組みについて発表いただき、その後、前田哲男氏、後藤健郎が加わりパネルディスカッションが行われました。
 パネルディスカッションでは、この1年間の知的財産保護や海賊版対策の取り組みを振り返るとともに、侵害発生国における知的財産保護の意識変化、IPビジネスにおけるコンテンツ流通と保護のバランス、AIとコンテンツの法的議論の動向など、知財立国への再起動を掲げるわが国の今後の展望について幅広くディスカッションを行いました。

FirstBrave Grace Kim氏による発表の様子
東宝株式会社 東幸司氏による発表の様子
パネルディスカッションの様子

■ 第18回 アジア知的財産権シンポジウム・アーカイブ動画
https://channel.nikkei.co.jp/chitekizaisanken2024/

【プログラム】

ごあいさつ・甘利 明氏(自由民主党知的財産戦略調査会 顧問)
講演「知的財産権侵害事犯 取締りの現状」
・篠崎 ほし江氏(警察庁 生活経済対策管理官付 知的財産権保護対策官)
「デジタル時代のクールジャパン戦略」
・佐伯 徳彦氏(経済産業省 商務・サービスグループ文化創造産業課長)
対談「コロナ時代を経て変貌するコンテンツ産業」
・前田 哲男氏(染井・前田・中川法律事務所 弁護士) 
・後藤 健郎(不正商品対策協議会(ACA)事務局長、コンテンツ海外流通促進機構(CODA)代表理事)
講演「知財分野のサイバー犯罪と国際連携」
・Felix Avellan氏( 国際刑事警察機構(ICPO) Operation Coordinator pro-tempore, IP Crime and Digital Piracy Unit)
・Ferhat Cakmak氏(国際刑事警察機構(ICPO)Criminal Intelligence Officer)
パネルディスカッション「知財立国再起動へのロードマップ」
・Grace Kim氏 ( Firstbrave社 Senior Vice President)
・東 幸司氏(東宝株式会社 コーポレート本部 法務部 知的財産室長)
・前田 哲男氏(染井・前田・中川法律事務所 弁護士) 
・後藤 健郎(不正商品対策協議会(ACA)事務局長、コンテンツ海外流通促進機構(CODA)代表理事)

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CODAについて
CODA(一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構)は、2002年に日本コンテンツの海外展開の促進と海賊版対策を目的として、経済産業省と文化庁の呼びかけで設立されました。音楽、映画、アニメ、放送番組、ゲーム、出版などの日本が誇るコンテンツは、日本の国際プレゼンス向上や経済成長の一翼を担っています。デジタル技術の普及が進む今日、巧妙化する著作権侵害から日本のコンテンツ産業を守り、その発展を図ることが一層重要になっています。その中でCODAは、国内外の関係政府機関、団体、企業と叡知を結集し、権利侵害への直接的、間接的な対策や広報啓発活動などに取り組むことで、オンラインを含めた海賊版の抑止や摘発に貢献しています。具体的な事業内容はhttps://coda-cj.jp/activity/から。

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