一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)は、経済産業省の受託事業として、7月4日~6日に中国・北京市にて「ハイレベル視察」を行い、日本コンテンツの流通促進を目的として動画配信サイト3社の幹部らと会談したほか、国家版権局を訪問して日本コンテンツの権利保護についての要請を実施。また、日本国大使館では木寺昌人大使との意見交換も行いました。
「ハイレベル視察」には、桐畑敏春・(株)ポニーキャニオン代表取締役社長(CODA代表理事)、竹内成和・エイベックス・マーケティング(株)代表取締役会長(CODA理事)、椎名保・第26回東京国際映画祭ディレクター・ジェネラル((株)角川書店取締役相談役、CODA前理事)、田信癸・(株)フジテレビジョン編成開発局ゼネラルプロデューサー(大多亮・日本民間放送連盟コンテンツ特別部会長(CODA理事)代理)、後藤健郎・CODA専務理事などが参加しました。また、経済産業省メディアコンテンツ課の佐合達矢課長にも同行をいただきました。
今回訪問したのは、「YoukuTudou(優酷土豆)」「iQIYI(愛奇芸)」「Sohu(捜狐)」の3サイト。各サイトでは、日本コンテンツのライセンス状況、正規ライセンスのための問題点、配信にあたっての規制ルールの現状等について会談しました。
UGCサイトの「YoukuTudou」では朱向陽・首席内容官(Chief Content Officer)が応対し、Youku(優酷)とTudou(土豆)の2大UGCサイトが合併した経緯や、両ブランドを維持してターゲット層を分けていること、引き続き中国でトップシェアを誇っていることなどを説明。日本コンテンツについては、「日本とは海賊版対策の話ばかりが中心となり、具体的な正規許諾までの話に及ばず残念である」として、正規配信こそが侵害対策のポイントであるとの指摘がされました。また、中国政府の規制により、海外からの参入が厳しい放送・映画興行などの実態を踏まえ、規制の運用がいまのところ緩やかな配信を活用し、「例えば日本の映画をまずはYoukuで配信し、ニーズを高めるのも良いのでは」との提案がなされました。
開設当初から正規許諾による配信のみを手がける動画配信サイト「iQIYI」では、耿曉華 運営副総裁(Operation VP)が応対しました。中国最大の検索サイト「Baidu(百度)」の100%子会社である「iQIYI」は、先般、動画配信サイト「PPS」との合併を発表していますが、「PPS」では著作権侵害が少なからず発生していることから、CODAからは「PPS」での侵害対策を依頼し、「iQIYI」からは着実に実施する旨の回答がありました。一方で耿氏からは、権利侵害を行なっている他の動画配信サイトの問題について指摘があり、日本の権利者からのアクションが必要との要望がありました。
大手ポータルサイト「Sohu」では、鄧曄・Sohuグループ副総裁兼Sohu動画CEOらと面談しました。「Sohu」からは、「日本コンテンツを積極的に中国で配信したいが、権利帰属が複雑で海賊版対策が不十分になることが障害だ」として、この解消策として、中国において海外の著作物に関する著作権の認証を行う「外国著作権認証機構」の資格を早急に取得してほしいとの要請がありました。また同サイトは、日本コンテンツの配信について、アニメだけでなくドラマや映画にも力を入れていること、「これから日本の権利者との協力が進めば、日中関係の文化的な発展に寄与できる」との意見が出されました。
3サイトには、今回の視察を受けて12月に東京で実施する予定の実務レベルでのビジネスマッチングへの参加も提案し、それぞれ快諾を得ました。
サイト訪問と併せて実施した国家版権局への訪問では、「外国著作権認証機構」の申請や、オンラインでの侵害対策キャンペーン「剣網行動」に対するCODAからの情報提供への対処などについて、応対した段玉萍・版権管理司副巡視員へ要請を行いました。この中で後藤専務理事は、「外国著作権認証機構については中国の動画配信サイトから強く要請を受けている」と説明しました。同席した経済産業省の佐合課長からも、「CODAには日本の主要な著作権者が参加しており、経済産業省として支援している。前向きな検討を」と要請がされました。これに対して段副巡視員からは、「この制度は非常に効果的なもの。CODAが認証機構として認められるためには代表性が重要」との意見がありました。
「認証機構」、「剣網行動」ともに、今後具体的に対応が進められていく予定であり、CODAとして市場の正常化と不正流通排除に向けて尽力して参ります。
日本国大使館への訪問では木寺大使との会談を実施。今回の視察の趣旨を説明する一方、大使からは、「中国国内で日本コンテンツを観てもらう機会を増やし、広めていくことが重要だ」との意見をいただきました。
今回の視察では、トップレベルでの会談を通じて、中国の動画配信ビジネスの現状をより把握することができ、正規の日本コンテンツを広めていくビジネスチャンスがあると認識しました。CODAでは引き続き、これらを12月の実務レベルのビジネスマッチングに繋げるため、具体的な施策に取り組んでいきます。
この一連の活動は、経済産業省受託事業の一環として行われました。