著作権侵害 台湾:海賊版から海賊版製造
台北で初のオークションサイト悪用事案摘発

 2014年2月20日、台湾の刑事警察大隊(※1)は、一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA・桐畑敏春代表理事((株)ポニーキャニオン 代表取締役社長))の要請に基づき、オークションサイトを悪用した日本のテレビドラマの海賊版販売に関連して台北市内のマンションを家宅捜索し、女性1名を逮捕、海賊版2000枚などを押収しました。女性は、自ら購入した海賊版を「マスター」として更に海賊版を製造し、安価でオークションサイトに出品していました。本件は、台北における初めてのオークションサイトを悪用した日本コンテンツの海賊版販売事案の摘発となりました。

 摘発を行った刑事警察大隊では、CODAを通じた要請を受けて、大手オークションサイト「露天拍賣」への日本のテレビドラマの海賊版出品の内偵捜査を進めていました。その結果、海賊版の製造・販売拠点と判明した台北市大安区のマンションの一室の家宅捜索が行われました。
 家宅捜索の結果、海賊版の製造やオークションサイトへの出品を認めたため、この部屋に住む50代の女性を逮捕し、部屋から見つかった日本のテレビドラマの海賊版DVD約360セット、女性が複製した海賊版DVD約2000枚、複製機器2台などが押収されました。

 同警察大隊の調べによると、この女性は日本のテレビドラマの愛好者で、自らが視聴する目的でオークションサイトなどを通じて海賊版を購入し、見終わった海賊版を再びオークションサイトを通じて転売していました。海賊版の売れ行きが良いことに着目した女性は、自らも海賊版を製造することを思い立ち、3枚のDVDを同時複製できる機器2台を用意して、購入した海賊版をマスターとして大量の海賊版を複製し、台湾の大手オークションサイト「露天拍賣」や「Yahoo!オークション(奇摩拍賣)」に出品していました。
 女性は、海賊版1セット(2枚組)当たり、現地で流通する海賊版価格の半額程度の50台湾ドル(約170円)で出品していたため、多くの消費者が購入していました。
 また女性は、多額のカード負債と失業が重なって生活に困窮し海賊版を購入するようになったこと、海賊版を無断複製しても元々の製造業者からは追及を受けないと考えて、自らも海賊版を製造したことなどを供述しています。
 同警察大隊では、この女性の海賊版販売による被害は、市場価格に換算して約200万元(約680万円)に上ると推計しているほか、女性がマスターとしていた海賊版の入手元についての捜査を継続するとしています。
 CODAでは引き続き、台湾における海賊版製造・流通を監視するとともに、刑事警察大隊による侵害行為の全容解明を支援し、正規流通と著作権保護啓発について尽力していきます。

 なお、この取締りは、経済産業省委託事業の一環として行われました。

押収された海賊版DVDの一部

(※1)…2014年1月1日の組織変更に伴い、保護智慧財産権警察大隊(IPR警察)から呼称変更

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