一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)に入った情報によると、台湾・電信偵査大隊及び内政部警政署刑事警察局は、2020年7月7日、インターネット上に違法アップロードされた動画をテレビで視聴するための不正ストリーミング視聴機器(ISD)を販売する犯罪組織の10人を、著作権法違反、児童及び少年の性搾取防止条例違反などの疑いで一斉逮捕し、8月3日に記者発表を行いました。
このISDは、「Dream Box セットトップボックス」と呼ばれる台湾では人気の商品で、2,000~4,000台湾ドル(約7,200円~14,400円)で個人向けに販売されていました。
捜査には、苗栗地方検察、電信偵査大隊(第一隊)、保安警察第二総隊刑警大隊(偵一隊)、苗栗県警察局刑警大隊(科技偵査隊)、苗栗警察があたり、逮捕同日には、本件犯罪組織の本部が所在する苗栗県のほか、台北市、台中市、彰化県、台南市に所在する販売店5カ所を含む全8カ所で家宅捜索が行われ、ISD 332台、侵害行為に使用されたPC及び携帯電話、及び自動車など、総額で600万台湾ドル(約2,165万円)相当が押収されました。また、犯罪組織が不当に得た売り上げは、3,800万台湾ドル(約1億3,715万円)に上るものと推定されています。
台湾の一般市民から刑事警察局に対し、「台湾のテレビや、日本や韓国のドラマや映画が無料で見られるセットトップボックスが販売されている」との情報が寄せられたことが事件の端緒となり、台湾衛星放送協会とCODAが、台湾のテレビ番組及び日本のドラマに係る著作権侵害行為に対し、それぞれ権利者に代わって著作物の侵害状況を確認することで、警察の捜査に協力しました。
さらに警察は、本機器を通じてわいせつ動画が視聴できることも発見したため、児童及び少年の性搾取防止条例違反 に当たる疑いがあるとして、調査を進めていました。
台湾では、ISDに係る著作権侵害を規制するため、2019年4月16日に著作権法が改正され、違法アプリの使用について助言、支援、または促すことを禁じる条文が追加されましたが、今回の容疑者らはこれらを回避する目的で、ISDを中国本土から安価で輸入した上で、購入者が機器を購入した後に、大量のテレビチャンネルの視聴を可能にする「全球視野(グローバルビジョン)」、海賊版映画の視聴を可能にする「沙發影城(ソファスタジオ)」、アダルト及び若年層のわいせつ動画の視聴を可能にする「午夜劇場(ミッドナイトシアター)」といった違法アプリを10分程度で自動的にダウンロードすることができるようにしていたと見られています。
内政部警政署刑事警察局は、記者発表において、「今後も海外の著作権関係者、他の警察機関、及び司法と密接に協力しながら、知的財産侵害を最優先のターゲットとし、デジタルフォレンジック技術を使って侵害行為を防いでいく。警察は、ここにあらゆる犯罪者は法的処罰を逃れ得るものではないことを宣言し、何人も法を犯すことがないように期待する。内政部警政署刑事警察局は、今後ともサイバー犯罪行為と戦い、台湾の国際イメージ向上に務める」とのコメントを発表しています。