2月20日、日本経済新聞社主催、不正商品対策協議会(ACA)、CODA共催のシンポジウム「アジア知的財産権シンポジウム2023 グローバル市場を勝ち抜く知財戦略 ~動き出したコンテンツ防衛~」を日経ホールにて開催しました。リアル会場聴講、オンライン聴講のハイブリット形式で開催され、合わせて多くの方々にご参加いただきました。
当日のプログラムは、衆議院議員の甘利明先生(自民党知的財産戦略調査会顧問、コンテンツ産業振興議員連盟会長)よりキーノートスピーチとして、我が国の知財戦略のスタートから今日に至るまでの経緯、そしてアクティブ・ディフェンスとしての国際連携・国際執行の重要性、また魅力あるコンテンツの創造・保護・活用のために今後取り組んでいくべき戦略展開と国政における課題に関してご講義いただきスタートしました。
続いて関係省庁の取り組みとして、田崎仁一氏(警察庁生活安全局知的財産権保護対管官)より「知的財産権侵害事犯 取締りの現状」と題してリーチサイト等の各事犯の検挙状況推移と被害が深刻化するインターネット上の侵害取締りに対する今後の課題についてご講演いただき、渡邊佳奈子氏(経済産業省商務情報政策局コンテンツ産業課長)より「コンテンツ産業政策の現状及び方向性について」と題してオンライン環境の変化の中での新しいビジネスのエコシステム構築と、コンテンツの海外展開や海賊版対策などに対する官民連携した課題解決の必要性についてご講演いただきました。
また、コンテンツ業界の取り組みとして、音楽産業分野から須子真奈美氏(日本音楽著作権協会(JASRAC)常務理事)より「音楽著作権管理の国際ネットワークとその取組」と題して正規版流通に欠かせない国際間での音楽著作権管理の仕組みについて、末永昌樹氏(日本レコード協会(RIAJ)著作権保護・促進センター センター長)より「日本レコード協会の違法対策」と題してインターネット上の音楽配信に対する違法アップロードやアプリ対策についてそれぞれご講演いただきました。
最後にパネルディスカッションが行われ、CODA代表理事の後藤がパネリストとして登壇し、川崎由紀夫氏(テレビ東京ホールディングス 専務取締役)、前田哲男氏(染井・前田・中川法律事務所 弁護士)と、海賊版対策におけるビジネス現場での実際の取り組み、サイバーセキュリティー専門家との連携や国際連携の必要性、各国の法律制度における海外での捜査の現状、若年層への広報啓発の重要性、そして官民で取り組める今後の展開についてなど、正規流通と海賊版対策という車の両輪としての知財戦略について幅広くディスカッションを行いました。
不正商品や海賊版がコンテンツ産業発展を阻害する大きな問題となっている昨今、一方で、「ファスト映画」アップローダーに対する損害賠償請求訴訟において運営者に多額の賠償を命じる判決が下るなど、コンテンツの適正利用を考える機運が高まりつつあります。この新たな局面を迎える知財戦略において、産業界と官公庁が連携していくとともに、各国との国際連携、そして消費者への広報啓発がより一層重要となっています。
今回のシンポジウムは、知的財産の適切な保護について考えることを目的として、各界の有識者を招聘し、これからの知的財産権のあり方について講義および議論を展開する大変意義深いものとなりました。
■日経チャンネル「アジア知的財産権シンポジウム 2023」
アーカイブ配信はこちらから(最大1年間程度視聴可能)
https://channel.nikkei.co.jp/chitekizaisanken2023/
プログラム | |
キーノートスピーチ | 甘利 明氏(自由民主党知的財産戦略調査会顧問/コンテンツ産業振興議員連盟会長) |
関係省庁の取り組み | ・「知的財産権侵害事犯取締りの現状」 田崎 仁一氏(警察庁 生活安全局 知的財産権保護対策官) ・「コンテンツ産業対策の現状及び方向性について」 渡邊 佳奈子氏(経済産業省 商務情報政策局 コンテンツ産業課長) |
コンテンツ業界の取り組み | ・「音楽著作権管理の国際ネットワークとその取組」 須子 真奈美氏(日本音楽著作権協会(JASRAC)常務理事)} ・「日本レコード協会の違法対策」 末永 昌樹氏(日本レコード協会(RIAJ)著作権保護・促進センター長) |
パネルディスカッション | <パネリスト> ・川崎 由紀夫氏(テレビ東京ホールディングス 専務取締役) ・後藤 健郎(不正商品対策協議会(ACA)事務局長、コンテンツ海外流通促進機構(CODA)代表理事) ・前田 哲男氏(染井・前田・中川法律事務所 弁護士) <コーディネーター> ・日本経済新聞社 サイバーセキュリティーエディター 岩澤 明信氏 |