本日2023年8月24日、東京地方裁判所(杉浦正樹裁判長)は、映画を10分程度に短く編集した「ファスト映画」を権利者に無断でアップロードした所在不明の男性1名に対し、著作権侵害による損害賠償金5億円の支払いを命じる判決を言い渡しました。
この判決を巡っては、はじめに2022年5月19日、一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)および一般社団法人日本映像ソフト協会(JVA)の会員企業13社からなる原告が、ファスト映画を無断でアップロードしていた被告3名に対する損害賠償請求訴訟を提起しました。その際、このうちの1名の所在が不明であったことから、同年11月17日、まず他の2名に対し、著作権侵害による損害賠償金5億円の支払いを命じる判決が言い渡されていました。
そして原告は、残りの男性1名に対し、必要な調査等を実施した上で、本年5月、東京地方裁判所に公示送達申立書を提出しました。
その結果、本年7月に裁判期日が指定され、本日の判決に至りました。
一連の裁判で原告は、損害賠償請求額の根拠として、視聴者がYouTube上で映画を一時ストリーミング視聴(レンタル)する場合、その価格が400円を下らないこと、またプラットフォーム手数料を差し引き、さらにファスト映画が動画の全部を使っていないことを考慮しても、その金額は1再生あたり200円を下らないこととし、不正にアップロードされていた13社の54作品(64URL)の視聴回数は約1千万回に上っていたことから、1再生200円に同再生回数を乗じた約20億円を損害額と算定し、最低限の損害回復を求める一部請求として5億円の支払いを求めました。
裁判所は今回も、先の2名に対する昨年11月17日の判決同様、原告側の主張を全面的に認め、残る1名に対しても、請求通り5億円の賠償を命じる判決を言い渡しました。
CODAとしては、今回の判決が、海外に滞在していると思われる所在不明者であっても、逃げ得は許さないという機運の醸成の一助となるものと期待しています。また、一連の判決は、ファスト映画による権利者への損害額を明確に認定することで著作権侵害への大きな抑止力となる、大変画期的な判決であると受け止めております。同時に、広告収入によって著作権侵害行為が助長されることがないよう、社会全体で「ファスト映画は見ない」という意識を広げていくことが重要であると考えております。CODAとしても、引き続き著作権の適正な保護と健全な正規流通促進の実現を目指し活動してまいります。
■参考リリース(刑事裁判判決):「ファスト映画」アップロード、3名に有罪判決
https://coda-cj.jp/news/385/
■参考リリース(先の2名に対する損害賠償請求認容判決):
ファスト映画アップローダーに対する損害賠償請求訴訟事件の判決について
https://coda-cj.jp/news/1202/
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CODAについて
CODA(一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構)は、2002年に日本コンテンツの海外展開の促進と海賊版対策を目的として、経済産業省と文化庁の呼びかけで設立されました。音楽、映画、アニメ、放送番組、ゲーム、出版などの日本が誇るコンテンツは、日本の国際プレゼンス向上や経済成長の一翼を担っています。デジタル技術の普及が進む今日、巧妙化する著作権侵害から日本のコンテンツ産業を守り、その発展を図ることが一層重要になっています。その中でCODAは、国内外の関係政府機関、団体、企業と叡知を結集し、権利侵害への直接的、間接的な対策や広報啓発活動などに取り組むことで、オンラインを含めた海賊版の抑止や摘発に貢献しています。具体的な事業内容はhttps://coda-cj.jp/activity/から。