広報啓発 中国・北京で日中の著作権法をめぐる最新動向に関するセミナーを開催

 2024年1月18日、中国・北京において、CODAと中国版権協会の共催セミナー「日中の著作権法をめぐる最新動向~最新の著作権の改正ポイントや生成AIについて~」を開催しました。

 本セミナーは、著作権に係る専門家にご講演いただき、日本と中国における著作権法をめぐる最新動向や権利保護の在り方、そして生成AIに関する現状認識などについて広く最新の情報をご提供するとともに、日中両国の知的財産権関連分野における文化交流を目的としたものです。CODAが経済産業省受託事業として開催する日中セミナーとして、昨年3月に続き今回が第2回目の開催となります。
 セミナーは現地北京のリアル会場に加えて、日本からのオンライン参加も可能としたハイブリッド形式により開催されました。現地会場では政府機関関係者、権利者、業界団体、一般企業関係者、法曹関係者、教育関係者など約50人、日本からのオンライン視聴もCODA会員社から約50人にご参加いただきました。また、中国版権協会によるライブ配信では1,500以上の聴衆を集めました。

 当日のセミナーは、中国版権協会の孫悦副理事長兼秘書長を司会として、中央宣伝部版権管理局(国家版権局)社会サービス処処長、二級巡視員の許煒氏、在中国日本国大使館文化公使の臼井将人氏、中国版権協会理事長の閻暁宏氏より開催のごあいさつをいただきスタートしました。

中国国家版権局社会サービス処処長の許煒氏
在中国日本国大使館文化公使の臼井将人氏
中国版権協会理事長の閻暁宏氏
中国版権協会の孫悦副理事長兼秘書長

 続いて、中国国家版権局インターネット著作権産業研究基地研究員の朱开鑫氏より「生成AIが著作権体系に与える影響と考察」と題して、技術、産業、制度の3つの側面からAIが著作権分野にもたらす変革や発展と、顕在化する問題点についてご講演いただきました。また、経済産業省コンテンツ産業課課長補佐の宮野彩季子氏より「コンテンツ産業政策の現状及び方向性について」と題して、日本が目指すべきコンテンツIPを軸に据えたグローバル戦略とその支援策、および各種海賊版対策についてご講演いただきました。さらに、優酷(YOUKU)信息技術(北京)有限公司法律顧問の王冀氏より「日中著作権協力の現状と今後の展望」と題して、同社における日本IPとのコラボ展開など日本のコンテンツ産業との協力関係と今後の展望についてご紹介いただきました。

 続いて、CODA代表理事の後藤健郎より「CODAの国際執行プロジェクトの成果報告」と題して、CODAが2021年より取り組んでいる国際執行プロジェクト(CBEP)の成果発表を中心に、デジタル・オンライン時代の海賊版対策における国際連携の重要性などについて講演を行いました。また、中国社会科学院法学研究所の李明德教授より「中国著作権法に伴う条例・規定の改正要点」と題して、著作物の定義における包括条項やフェアユース等の著作権法で規定すべき問題点、またAI等の新たなテクノロジーに対応するためのデータマイニングや規定の必要性についてご講演いただきました。さらに、染井・前田・中川法律事務所弁護士の前田哲男氏より「日本著作権法における最近の動向などについて」と題して、著作権の公正な利用促進や海賊版対策の強化を目指した日本の著作権法改正の最新情報、また文化審議会著作権分科会法制度小委員会において進行中のAIと著作権をめぐる検討状況をご紹介いただきました。

CODA代表理事の後藤健郎
染井・前田・中川法律事務所の前田哲男氏

 講演終了後には、AIと著作権をめぐる問題や、CODAの活動に対する今後の展望についてなど多くの質問が寄せられ、弁護士の前田哲男氏、CODA後藤代表理事による応答が行われました。
 最後に、中国版権協会常務副理事長の于慈珂氏より、「今回のセミナーは、AIの発展など日中両国が共通して直面している新しいテクノロジーに対する著作権保護について、今後の課題や変革への挑戦のための最新の動向や教訓を教示するものとなった」との総括をいただき、さらにこれらのコメントは生成AIにより作成されたと発表され、今回のテーマをめぐる斬新な演出により会場を盛り上げていただきました。

中国版権協会常務副理事長の于慈珂氏
北京会場の様子

 今回のセミナーは、急速に進歩する生成AI技術をはじめテクノロジーの発展とともに新たな局面を迎えたコンテンツ産業界において、日中における著作権保護に対する一層の連携と協働への期待が寄せられる大変意義深いものとなりました。
 なお、この活動は、経済産業省受託事業の一環として行われました。

■中国版権協会 ホームページ
 https://www.csccn.org.cn

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CODAについて
CODA(一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構)は、2002年に日本コンテンツの海外展開の促進と海賊版対策を目的として、経済産業省と文化庁の呼びかけで設立されました。音楽、映画、アニメ、放送番組、ゲーム、出版などの日本が誇るコンテンツは、日本の国際プレゼンス向上や経済成長の一翼を担っています。デジタル技術の普及が進む今日、巧妙化する著作権侵害から日本のコンテンツ産業を守り、その発展を図ることが一層重要になっています。その中でCODAは、国内外の関係政府機関、団体、企業と叡知を結集し、権利侵害への直接的、間接的な対策や広報啓発活動などに取り組むことで、オンラインを含めた海賊版の抑止や摘発に貢献しています。具体的な事業内容はhttps://coda-cj.jp/activity/から。

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