2024年7月28日、中国の国家版権局版権管理局から副局長の湯兆志氏を団長とする5名の訪日団、および中国版権協会副理事長兼秘書長の孫悦氏を団長とする中国の大手IT企業、コンテンツ関連企業などからなる18名の訪日団がCODAに来訪しました。
CODAと国家版権局は、中国NGO法人の「CODA北京事務所」を通じて対話ルートを構築しており、著作権関連法制度に関する情報交換等を継続的に実施しています。また、CODAの北京訪問時や国家版権局の来日に合わせた意見交換会も実施しており、今回は日本との政府間協議のための来日期間にCODAに来訪いただきました。
中国版権協会は、国家版権局の監督のもと、1990年3月に設立された中国における著作権分野を専門に取り扱う全国的な団体です。出版、ソフトウェア、映画、美術、音楽、演劇等の分野から515の会員企業・団体を有し幅広い事業を展開しています。2010年以降、CODAとは著作権保護に関するトレーニングセミナーや著作権啓発イベントを多数共催するなど、両国の相互理解を深めコンテンツ産業の健全な発展を促しており、2023年には「日中コンテンツに関する戦略的提携」を目的にした覚書を締結しています。今回CODAは、日中両国の著作権保護の現状と課題、そして今後の発展に向けた取り組みについての共有を目的に、翌日に中国版権協会とCODA共催の「2024日中著作権保護及び発展シンポジウム」を開催するにあたり訪日団を招聘しました。
来訪同日CODA会議室で開催された会合では、CODA代表理事の後藤健郎から、中国との連携によるCODAの国際執行プロジェクト(CBEP)の成果発表を中心に、デジタル・オンライン時代の海賊版対策における官民連携および国際連携の重要性についてプレゼンテーションを行いました。
翌7月29日、国家版権局訪日団および中国版権協会訪日団に加え、関連省庁やCODA会員社・関連企業をお招きし、目黒区のホテル雅叙園東京において「2024日中著作権保護及び発展シンポジウム」を開催しました。
シンポジウムでは、初めに国家版権局副局長の湯兆志氏、続いて内閣官房内閣審議官文部科学戦略官・文化戦略官の中原裕彦氏から開催にあたりごあいさつをいただきました。
続いて、国家版権局弁公室主任の鄭良斌氏から、「中国における著作権保護と発展の現状」と題して中国の著作権に関する法制度体制、産業発展、国際交流の強化についてご講演いただき、また、文化厅著作権課長の籾井圭子氏から、「日本の著作権政策の最新動向」と題して世界的に関心の高いAIと著作権の関係について、AI開発・学習段階や生成・利用段階における懸念点と現行の著作権法の解釈についてご講演いただきました。
続いて、国家版権局インターネット版権産業研究センター秘書長の張钦坤氏から「ネットワーク著作権産業における生成AIの応用」と題してAIの応用によるインターネット上の著作権産業における将来的な発展の可能性について解説いただき、そしてCODA代表理事の後藤健郎から、「CODAで実施している海賊版対策の国際協力について」と題して深刻な海賊版の侵害実態、対策における問題と課題、それによる国際連携・国際執行の必要性について発表を行いました。
また、テンセントグループ法務副総裁の刁雲芸氏から、「中国ネット動画海外展開の現状と権利保護」と題して動画プラットフォームにおける海外メディアとの提携や権利保護の実践についての最新情報を提供いただき、経済産業省商務・サービスグループ文化創造産業課課長補佐の早坂悟氏から、「コンテンツ産業政策の現状について」と題して世界市場における日本コンテンツのポテンシャルの高まりや、政府による海外展開促進および海賊版対策事業の展開についてご説明いただきました。
シンポジウムの後には「日中著作権交流会」が催され、両国の政府機関、著作権保護団体、コンテンツ産業企業による、著作権保護における今後の一層の関係構築と連携強化に向けた意義深い機会となりました。
■中国国家版権局 ホームページ
https://www.ncac.gov.cn/
■中国版権協会 ホームページ
https://www.csccn.org.cn
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CODAについて
CODA(一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構)は、2002年に日本コンテンツの海外展開の促進と海賊版対策を目的として、経済産業省と文化庁の呼びかけで設立されました。音楽、映画、アニメ、放送番組、ゲーム、出版などの日本が誇るコンテンツは、日本の国際プレゼンス向上や経済成長の一翼を担っています。デジタル技術の普及が進む今日、巧妙化する著作権侵害から日本のコンテンツ産業を守り、その発展を図ることが一層重要になっています。その中でCODAは、国内外の関係政府機関、団体、企業と叡知を結集し、権利侵害への直接的、間接的な対策や広報啓発活動などに取り組むことで、オンラインを含めた海賊版の抑止や摘発に貢献しています。具体的な事業内容はhttps://coda-cj.jp/activity/から。