お知らせ広報啓発 中国・北京で「日中IP著作権保護シンポジウム」を開催

 2024年12月18日、中国・北京において、CODAと中国版権協会共催の「日中IP著作権保護シンポジウム」を開催しました。
 本シンポジウムは、CODAと中国版権協会が共催するセミナーとして第8回目。CODAが経済産業省の受託事業として開催する日中セミナーとしては、本年1月に続き今回が第3回目の開催となります。

 本シンポジウムでは、日中の知的財産権に係る専門家にご講演いただき、コンテンツ産業の現状、知的財産権侵害対策、具体的な著作権侵害に対する実例紹介など、両国における知的財産権保護に関する取り組みや課題などについて最新の情報を提供しています。  
 今回も、本シンポジウムを通じて知的財産権保護に関する両国の認識を共有するとともに、知的財産権関連分野における交流、さらには今後の連携強化についての前向きな議論など、幅広い意見交換が行われました。
 シンポジウムは現地北京のリアル会場に加えて、日本からのオンライン参加も可能としたハイブリッド形式により開催されました。現地会場では政府機関関係者、権利者、業界団体、一般企業関係者、法曹関係者、教育関係者など約50人、日本からのオンライン視聴はCODA会員社から約40人にご参加いただきました。また、中国版権協会によるライブ配信では約1000人の聴衆を集めました。

 当日のセミナーは、中国版権協会の孫悦副理事長兼秘書長を司会として、中国版権協会理事長の閻暁宏氏より開催のごあいさつをいただきスタートしました。
 続いて、中国政法大学無形資産管理研究センター研究員の蘇志甫氏より「中国著作権法における映画・ドラマ・ゲームグッズの保護に関する規則・挑戦・対策」と題して、AIの進展に伴う権利侵害の新しい手口、二次創作・合理的利用(フェアユース)・改変行為の境界線ついて、中国の著作権法に照らし合わせご講演いただきました。また、経済産業省商務・サービスグループ文化創造産業課係長の森末萌以氏より「コンテンツ産業の現状と方向性」と題して、この10年間で他産業と比べても大きく成長する世界や日本のコンテンツ市場を巡る環境の変化などの背景、そしてコンテンツの海外展開や海賊版対策における今後の課題などについてご講演いただきました。さらに、清華大学法学院副教授 蒋舸氏より「AI関連著作権問題の法的・経済的分析の枠組み」と題して、AI学習段階の著作物の利用における合理的利用(フェアユース)やAI作品の著作物としての認定について、米国裁判における判例を基にした分析をご講演いただきました。

 続いて、在中国日本国大使館広報文化部公使の臼井将人氏からごあいさつをいただきました。
 次に、CODA代表理事の後藤健郎より「CODAの著作権侵害対応について」と題して、日本コンテンツ市場におけるコンテンツIPの台頭と、それによる侵害発生の現状を紹介し、CODAの国際執行プロジェクト(CBEP)を中心とした著作権侵害対策について最近の事例を解説した上で、国際連携や国際協力の重要性について講演を行いました。また、北京爱奇艺科技有限公司法律部の王穹氏より「IQIYIの著作権保護事業について」と題して、IQIYIの著作権保護管理体制の仕組み、実際の侵害事例を基にした権利保護や著作者証明における課題や手段についてご講演いただきました。さらに、IP FORWARD法律特許事務所弁護士の周婷氏より「中国における日本コンテンツ海賊版対策及び成功事例の紹介」と題して、日本コンテンツ企業が中国において著作権保護を実施する際の日中の著作権登録制度の相違点を紹介した上で、実際の刑事摘発成功事例を基に権利行使の効果についてご講演いただきました。

 今回のシンポジウムは、近年世界レベルで大きく成長するコンテンツ産業において、生成AI技術をはじめテクノロジーの進展などの新たな課題にも積極的に向き合い、新局面を迎えるコンテンツ産業の著作権保護への認識と今後の展望を共有する重要な機会となりました。
 なお、この活動は、経済産業省受託事業の一環として行われました。

中国版権協会理事長の閻暁宏氏
在中国日本国大使館広報文化部公使の臼井将人氏
CODA代表理事の後藤健郎
中国版権協会の孫悦副理事長兼秘書長
シンポジウム会場の様子

■中国版権協会 ホームページ
 https://www.csccn.org.cn

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CODAについて
CODA(一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構)は、2002年に日本コンテンツの海外展開の促進と海賊版対策を目的として、経済産業省と文化庁の呼びかけで設立されました。音楽、映画、アニメ、放送番組、ゲーム、出版などの日本が誇るコンテンツは、日本の国際プレゼンス向上や経済成長の一翼を担っています。デジタル技術の普及が進む今日、巧妙化する著作権侵害から日本のコンテンツ産業を守り、その発展を図ることが一層重要になっています。その中でCODAは、国内外の関係政府機関、団体、企業と叡知を結集し、権利侵害への直接的、間接的な対策や広報啓発活動などに取り組むことで、オンラインを含めた海賊版の抑止や摘発に貢献しています。具体的な事業内容はhttps://coda-cj.jp/activity/から。

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