著作権侵害 映画の文字抜き出しサイトの運営者ら5名等を検察庁に送致

 宮城県警察本部と南三陸警察署は、2025年5月20日、権利者に無断で映画の著作物のストーリー全容を文字起こしし、関連画像と合わせて記事を作成した上、自社が運営するサイトに掲載したとして、仙台市在住の会社経営者の男性ら男女5名と、運営会社を著作権法違反の疑いで仙台地方検察庁に送致しました。なお、法人が著作権法違反の疑いで送致される前例は数少なく、非常にまれなケースとなります。

 男女らは、2023年11月、東宝(株)が著作権を有する映画「ゴジラ-1.0」ほか4作品、東映(株)が著作権を有する映画「シン・仮面ライダー」ほか2作品、(株)KADOKAWAが著作権を有する映画「首」ほか1作品、および(株)円谷プロダクションが著作権を有する映画「シン・ウルトラマン」の作品内に描かれている登場⼈物の名称、セリフ・動作、情景、場⾯展開などのストーリー全体の克明な内容を権利者に無断で文字起こしし、関連画像と合わせた記事をサイトに掲載して広告収益を不当に得ていました。サイトには把握しているだけで8000作品以上の映画が掲載されており、それらの最初から最後までの詳細な内容が分かるようになっていたことから、「ファスト映画」の文字版とも言えるサイトでした。

 本件は、10月29日に映画などの文字抜き出しサイト運営で宮城県警によって初検挙され、11月19日付けで運営者とライターとがともに起訴されたサイトAとは別のサイトであり、宮城県警の捜査をうけ、CODAにおいて被害権利者の取りまとめをし、今回の摘発に至ったものです。
警察の捜査の結果、これもサイトAと同様に、5名の役割は全体を統括する会社経営者、記事公開を担当する従業員、報酬を受けて記事作成を担当するライターと別れていたことが分かりました。また、ライターに関しては、人材エージェントを介しアルバイトを募集していたことも判明するなど、共謀して組織的に著作権侵害行為を行った上で、営利目的で当該サイトを運営し多くのアクセスを集めていたことが分かっています。

サイトページ(一部画像加工)

 以前より問題視されている違法な文字抜き出しサイト、いわゆる「ネタバレサイト」は未だに数多く確認されています。これらサイトに掲載された内容は、訪問者に映画の全貌をほぼ理解させ、それによりコンテンツに正当な対価を支払う意欲を低下させるなど、正式な本編映画を見ないことにも繋がる悪質なものです。
 CODAは、これらの行為が適法な引用の範囲を超えた著作権侵害であることを多くの方に認識していただきたいと考えています。また、これらのサイトを利用する行為は、犯罪者に間接的に収益を与え、さらには作品を作り出す権利者の利益を損ねているという事実をぜひ知っていただき、安易な利用は控えていただくようお願いいたします。

 CODAでは、今後も引き続き日本のコンテンツの不正利用の一掃に尽力し、コンテンツ保護と健全な正規流通促進および健全なインターネット社会が醸成されることを期待して活動してまいります。

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CODAについて
CODA(一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構)は、2002年に日本コンテンツの海外展開の促進と海賊版対策を目的として、経済産業省と文化庁の呼びかけで設立されました。音楽、映画、アニメ、放送番組、ゲーム、出版などの日本が誇るコンテンツは、日本の国際プレゼンス向上や経済成長の一翼を担っています。デジタル技術の普及が進む今日、巧妙化する著作権侵害から日本のコンテンツ産業を守り、その発展を図ることが一層重要になっています。その中でCODAは、国内外の関係政府機関、団体、企業と叡知を結集し、権利侵害への直接的、間接的な対策や広報啓発活動などに取り組むことで、オンラインを含めた海賊版の抑止や摘発に貢献しています。具体的な事業内容はhttps://coda-cj.jp/activity/から。

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