著作権侵害 世界最大の漫画海賊版サイト「BATO.TO」運営者を中国で刑事摘発

世界50カ国以上の言語に翻訳し全世界を対象に日中韓の漫画を違法配信

 中国上海市公安局は、2025年11月19日、世界最大の海賊版サイト「BATO.TO(xbato.com、bato.to、mangapark.ioなど計60サイト)」を運営し、英語など50カ国以上の言語に翻訳した日本漫画などを権利者に無断で配信していたとして、著作権法違反の疑いで広西チワン族自治区在住の男性の自宅を家宅捜索しました。男性は勾留(身柄拘束による取調べ)を経て現在は保釈されていますが、これらサイト群すべてを運営していたことを認めており、今後起訴される見通しです。
 公安は、すでに男性のパソコンを押収しており、サーバーの解析や運営実態、さらには運営に関与する関係者の情報などについて引き続き捜査を進めています。CODAでも、これらサイトや関連するSNSなどの運営、そしてコンテンツの投稿・翻訳に関与する関係者が世界各国に所在していることを確認しており、国際的な連携による調査を継続していく方針です。
 男性が運営していたサイト群については、勾留後も証拠保全の観点から一時的に稼働が続けられていましたが、その後、関係者らがSNS上で閉鎖を発表し、1月19日までに60サイトすべての閉鎖が確認されました。

 本件は、日本の出版社(株式会社KADOKAWA、株式会社講談社、株式会社集英社、株式会社小学館、株式会社スクウェア・エニックス)からの要請を受け、2025年9月25日にCODA北京事務所が出版社に代わり公安局に刑事告発を行い実施されました。さらに、CODAは侵害対策の実効性強化を目的とした国際連携の一環として、中国の大手IT企業テンセント傘下で中国最大級のオンライン書籍プラットフォームを運営する閲文集団(China Literature Limited)にも協力を求めました。閲文集団は、同社が権利を有する中国漫画が「BATO.TO」で無断配信されていることを確認し、CODAと連携して公安局に刑事告発を行いました。今回、こうした日中間の共同の取り組みによる告発が刑事摘発に至ったことは、国際的な知的財産保護の推進における重要な成果です。

 「BATO.TO」は2014年に開設された投稿型の海賊版サイトで、男性は少なくとも2018年から同サイトを中心的に運営していたことが明らかになっています。英語などの50カ国の言語に翻訳された日本をはじめ韓国、中国などの人気漫画の投稿を掲載し、広く海外に向けて配信していました。また、同サイトには中国国内からは閲覧できないようジオブロッキング(地域視聴制限)が施されており、「国内で侵害実態がない」状況を装いながら、世界中から膨大なアクセスを集め不当に多額の広告収入を得ていました。なお男性は、これらアクセスから、多い月には40万元(約800万円)を超える広告収入を得ていたことを供述しています。
 さらに、運営者は異なるドメインを使用して大量の類似サイトを同時に運営しており、CODAおよび出版社の調査で確認しているだけでも60サイトに上ります。これら60サイトの2025年5月の月間アクセス数は3億5,000万に達しており(※1)、「BATO.TO」は実質的に世界最大の漫画海賊版サイトでした。なお、2022年10月から2025年10月の37カ月の合計アクセス数は約72億となり、漫画へのアクセス単価を仮に107円(※2)とみなした場合、その経済効果は、約7,700億円にも上ります。
 CODAは、運営者がこうして大量サイトを並行運営しアクセスを分散することで、各国からの取り締まりやサイトブロッキングを回避し、長期にわたり世界規模で侵害行為を継続してきたとみています。

BATO.TO(xbato.com)トップページ(2025年11月確認・一部画像加工)
 

 本件は、2024年7月に開催された出版5社マンガ海賊版対策会議(※3)において「BATO.TO」の問題が指摘されたことを契機に、CODAが実施する国際執行プロジェクト(CBEP)のターゲットサイトとして対策を開始したことによるものです。プロジェクトでは、エシカルハッカーなどサイバーセキュリティ専門家と連携し、オープン・ソース・インテリジェンス調査を実施。中国のサービスを利用していたことが判明したことから、中国の調査会社の協力を得て運営者の特定に成功し、公安局への刑事告発に至りました。
 なお、今回CODAに刑事事件化の要請を行ったKADOKAWA、講談社、集英社、小学館、スクウェア・エニックスの作品が、「BATO.TO」において1,000作品以上閲覧可能になっていたことを確認しています。

 「BATO.TO」に投稿されていた無許諾の翻訳漫画の多くは、いわゆるスキャンレーション(※4)によるもので、スキャンレーショングループと呼ばれるチームにより組織的に制作され、インターネット上へ公開することで世界中に拡散することが問題視されています。特に近年、日本漫画やアニメの世界的な人気の高まりとAI技術の普及により、このような無許諾翻訳漫画による被害は深刻化しており、「BATO.TO」はその主要な流通拠点のひとつとされていました。
 CODAは今回の刑事摘発を、スキャンレーションをはじめとする無許諾翻訳漫画サイトに対する有効な抑止につながる画期的な事例として受け止めています。なお、NTTソルマーレが全米市場向けに展開する電子書籍ストア「MangaPlaza」においては、「BATO.TO」の閉鎖直後から1日あたりの売上額が約2倍に伸長したとの報告を受けています。
 今回のサイト閉鎖を受け、CODA代表理事の後藤健郎は、「世界最大の漫画海賊版サイトが刑事摘発により閉鎖されたことは、国境を越えた海賊版対策において大変意義深いことであり、本件に尽力いただいた中国当局、日本の経済産業省をはじめとする関係者の方々に深く感謝申し上げます」とコメントし、全容解明に向けた関係各所との連携を強化する姿勢を示しています。

 グローバル化やデジタル化の進展、さらに急速に発展するAI技術により、知的財産が脅かされる危機は一層増大しています。そのような中、クリエイターの創意工夫とたゆまぬ努力の結晶である作品に敬意を払い、正規ルートで作品を楽しむことこそが、文化のさらなる発展を支え、新たな創造力を育む豊かな未来を守る行為であると考えます。
 CODAは今後も、関係機関や企業との国境を越えた連携を一層強化し、日本コンテンツの適正な保護と健全な正規流通の促進に向けて、積極的に取り組んでまいります。

 なお、この活動は、経済産業省受託事業の一環として行われました。

※1:SimilarWeb調査
※2:「令和7年度コンテンツ海外展開促進事業(知的財産権侵害対策強化事業)」におけるデジタルコンテンツの海賊版被害額調査(海賊版流通額等の推計値)よりCODAが算出。
※3:株式会社KADOKAWA、株式会社講談社、株式会社集英社、株式会社小学館、株式会社スクウェア・エニックスの計5社で組成された海賊版対策の会議体。CODAは、2021年10月よりオブザーバーとして参加している。
※4:「Scan(スキャン)」と「Translation(翻訳)」を組み合わせた造語。マンガ作品をスキャンして文字を消し、翻訳文字を埋め込む行為。

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CODAについて
CODA(一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構)は、2002年に日本コンテンツの海外展開の促進と海賊版対策を目的として、経済産業省と文化庁の呼びかけで設立されました。音楽、映画、アニメ、放送番組、ゲーム、出版などの日本が誇るコンテンツは、日本の国際プレゼンス向上や経済成長の一翼を担っています。デジタル技術の普及が進む今日、巧妙化する著作権侵害から日本のコンテンツ産業を守り、その発展を図ることが一層重要になっています。その中でCODAは、国内外の関係政府機関、団体、企業と叡知を結集し、権利侵害への直接的、間接的な対策や広報啓発活動などに取り組むことで、オンラインを含めた海賊版の抑止や摘発に貢献しています。具体的な事業内容はhttps://coda-cj.jp/activity/から。

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