CODAは、12月20日、CODAは経済産業省の受託事業として、世界中で最も先進的な知財保護活動を推進する英国警察知的財産犯罪ユニット(PIPCU:Police Intellectual Property Crime Unit)の責任者であるピーター・ラットクリフ警部を招聘し、CJマーク委員会・法制度委員会の中で特別講演を開催しました。
ラットクリフ警部は、1992年にロンドン市警察に入局後、犯罪捜査局、経済犯罪部門などでさまざまな重要任務を遂行し、2015年6月からPIPCUを統率しています。同機関に着任後は、知財侵害事犯の摘発や関連機関との関係構築活動などを、イギリス国内のみならず世界各地でも積極的に行っています。
特別講演にはCODAのCJマーク・法制度委員を中心に会員者約40人が集まり、知的財産権侵害に対する最新の対策について熱心に耳を傾けました。
講演では、PIPCUが行うさまざまな取り組みが紹介されました。中でも、違法アップロードなどの侵害行為で集客を行うことで広告収入を得ているサイトをリスト化し、これを広告主に提供し理解と協力を得るという活動では、現在約1,000件のサイトの情報がこの取り組みへの協力者との間で共有されており、2010年の4月から2015年の4月の5年間でそれら侵害サイトへの広告掲載が73%も抑止されたとの結果が民間の調査で判明したとして、聴講者の関心を集めました。
また、起訴にまでは至らないと判断される軽微な事案については、権利者の合意のもとで、侵害者の家を直接訪問し、著作権侵害であることを警告し、認識・改善してもらうという地道な活動も行っています。これまで6カ月間行われ、対象となった侵害サイトの運営者すべてがサイトを閉鎖したことから、非常に有効な知財保護手段であると報告されました。
さらに、ボーダーレス侵害が深刻な問題となる現在では、国境を越えた連携は大変重要であるとし、具体的な個々の事案での協力はもちろんのこと、情報の共有や関係の構築について、政府や警察などの捜査機関だけでなく、権利者や民間の繋がりの重要性についても強調し、今回の訪日や講演についても評価されました。
講演の最後には質疑応答の時間が設けられ、イギリスにおける警察と民間との特徴的な協力関係や、侵害対策の客観的な評価基準などについて、多くの質問が寄せられました。