著作権侵害 台湾で日本コンテンツ海賊版販売の一掃に成功

 2012年11月8日、台湾の保護智慧財産権警察(IPR警察)大隊は、台北市内の電気街に所在する商業ビル「光華商場」内の日本コンテンツ専門の海賊版販売店2店舗の取締りを実施しました。
 光華商場は、台湾における海賊版販売のシンボルタワーと呼ばれており、その根源であるとみられています。CODAの要請を受けたIPR警察では、昨年11月より、日本コンテンツ専門の海賊版販売店の取締りを行っていますが、今回の取締りによって、CODAが2005年より実施してきた台湾における海賊版対策は、大きな成果と節目を迎えることができました。CODAでは、これら一連の取締りによって、台湾の海賊版販売店による日本コンテンツの海賊版は一掃されるものと考えています。

台北市内の商業ビル「光華商場」の外観の様子(2012年10月撮影)
海賊版販売店の摘発の様子(2012年11月8日・TFACT撮影)

 11月8日に行われた家宅捜索では、光華商場内の2店舗が対象となりました。IPR警察によって摘発された3階の店舗では、約5,000枚の海賊版DVD等が押収され、経営者の女性が逮捕されたほか、2階の店舗でも約1,000枚の海賊版DVDが押収され、経営者の女性が逮捕されました。これら2店舗では、「平清盛」「トッカン 特別国税徴収官」「ゴーストママ捜査線」「黒の女教師」「ダブルフェイス」「ビューティフルレイン」「東野圭吾ミステリーズ」など日本の最新テレビドラマの海賊版が公然と販売されており、中にはブルーレイディスクに複製されているものもありました。

 この取締りを受けて、11月10日には、新北市のIPR警察大隊本部で記者発表が開催されました。CODAからは後藤健郎専務理事が出席し、IPR警察への謝意を述べるとともに、今後も引き続き、同警察および海賊版対策においてCODAと提携する台湾著作権保護基金会(TFACT)と共に、台湾における日本コンテンツの権利保護を進めていくことを説明しました。会場には、8日の取締りで押収された海賊版が公開され、現地メディア、日本のテレビ局、通信社などが取材を行いました。

記者発表の様子・後藤健郎専務理事(2012年11月10日撮影)
記者発表の様子・押収された海賊版(2012年11月10日撮影)

 CODAは、2005年よりアメリカ映画協会(MPA)と連携し、東アジア地域で日本コンテンツの海賊版が発見された場合は、CODAとの共同取締りが実施される仕組みを構築し、取締りを実施してきました。ただし、台湾においては刑事訴追の手続き上の関係から、告訴はMPAメンバーのみが行い、日本コンテンツについては海賊版の押収のみとしていました。この共同エンフォースメントにより、台湾では、これまでに2,000件の取締りが実施され、100万枚を超える海賊版が押収されるなどの成果を得ています。
 しかし、2010年頃から、日本コンテンツに特化した海賊版販売店が多数確認され、被害が甚大となっていることが判明しました。そこでCODAではTFACTと連携してIPR警察に取締りを要請し、同警察では、2011年11月から今年3月にかけてこれらの海賊版販売業者に対する一斉取締りを実施、4カ所の夜市で露天商を含む5店舗の各経営者を逮捕し合計で約1万枚の日本コンテンツの海賊版DVDが押収されていました。
 この結果、5月に台湾全土の海賊版販売店40店舗を対象にCODAが実施した調査では、日本コンテンツの海賊版を公然と販売する店舗は1店舗に激減していましたが、最近になり、台湾における海賊版販売の最大拠点とも呼ばれる「光華商場」において、日本コンテンツの海賊版販売が再開されるようになったため、今回の取締りに至ったものです。
 TFACTの調査によると、2011年10月当時、台湾全土では約40店舗が日本コンテンツの海賊版を販売しており、1店舗当たり毎月約3,000枚を売り上げていたと推定されています。この数から、台湾全土では1年間に正規版価格で約15億台湾ドル(約41億円)相当の海賊版が流通していると推計されていました。

 今回、海賊版販売の最大拠点の取締りが行われたことで、CODAは、台湾における日本コンテンツの海賊版は一掃されたものと認識しています。今後は、わが国同様にインターネットを悪用した権利侵害などにその行為は移行・潜在化することが想定されます。
 またCODAでは、今年9月、日本のコンテンツホルダーを対象に、TFACT、IPR警察、台湾地方検察署の担当者を招へいして「台湾における日本コンテンツ著作権侵害の現状と正規流通の展望」と題したセミナーを開催し、現地の著作権侵害の現状について情報共有を行いました。併せて、セミナーに自主参加した台湾のライセンシー企業3社からも、台湾の市場や正規流通に関する報告が行なわれました。
 CODAでは、コンテンツの権利保護とともに、正規流通についても力を入れて取り組んでおり、求める人のもとにより多くの正規コンテンツが届く環境づくりのためにも、CODAでは引き続き、効果的な取締りをTFACT、IPR警察とともに実施していきます。

 なお、この取締りは、経済産業省委託事業の一環として行われたものです。

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