2018年度第一回目となるトレーニングセミナーが、9月7日、タイ・チェンマイ市内のエンプレスホテルチェンマイで開催されました。
当日は、タイ知的財産局(DIP) の知財副局長による開会のあいさつが行われた後、タイ・日本双方の代表による講演が行われました。
タイ側からは、まずDIP著作権専門官が「オンライン著作権保護に関するDIPの方針」と題した講演を実施、タイのオンライン侵害対策、とりわけ2015年の著作権法改正によりISPに一定の責任を持たせたこと及びそれでもなお残った問題点、並びに同改正法のさらなる改正の可能性について説明がありました。次に、DIP法務室長による「タイにおけるオンライン上の著作権侵害に対する対策」と題した講演では、2017年に改正されたコンピューター法を援用したオンライン侵害対策について解説がありました。そして、情報技術・通信省/電子取引開発機構(ETDA)副理事長による「タイにおけるオンライン上の著作権侵害に対する対策」と題した講演では、同機構が開発した独自システムによるオンライン侵害の調査・情報収集方法、及びその侵害対策への利用について情報提供がありました。
日本側からは、CODAより「サイトブロッキングおよび広告出稿抑止(日本版IWL)に関するCODAの取組」と題した講演により、オンライン侵害抑止の為に実施しているサイトブロッキング法制化の要望と広告掲載の禁止(日本版IWL)に関連する活動について説明、不正商品対策協議会(ACA)からは、「インターネット上での知的財産権侵害対策について」と題した講演により、日本における侵害及びその対策の歴史、並びに現在侵害の中心となっているオンライン侵害対策について紹介されました。
当日は、法曹関係者や教育関係者、警察、政府機関職員、民間のソフトウェア企業の社員など約100人もの聴衆が参加し、講演に熱心に耳を傾けました。
講演終了後には、日本側参加者に対して、「オンライン上で侵害物を見分ける方法は」、「日本でサイトブロッキングは可能なのか」、「日本でサイトブロッキングが法制化される見込みはあるのか」、などなど熱心な質疑応答、及び意見交換が行われました。
タイ知的財産局にとっても日本のオンラインにおける知財侵害及び保護状況について学ぶことができる貴重な機会となったとのことで、国境を越えて拡大するオンライン侵害に対する協働と次年度以降のトレーニングセミナー継続開催に対する希望が寄せられました。
本事業は文化庁から委託されているもので、2018年度は、タイ・チェンマイのほか、今後に香港、マレーシア・クアラルンプール、台湾・台北市、ベトナム・ハノイ、中国・北京、インドネシア・ジャカルタの計7ヵ国/7地域でのセミナー開催を予定しています 。
(2018年9月28日更新)