広報啓発 「アジア知的財産権シンポジウム2024」を開催

 2024年1月22日、日本経済新聞社主催、不正商品対策協議会(ACA)、CODA共催による「アジア知的財産権シンポジウム2024 ビジネスの成長を支える知的財産 ~各国の事例から教育まで多角的視点からの考察~」を東京都千代田区の日経ホールにて開催しました。
 本シンポジウムは、1998年より知的財産の保護と不正商品の排除を目的として開催しており、今回で17回目を迎えます。

 当日のプログラムでは、午前の部として、CODAが2023年4月より教育啓発事業として推進している若年層に向けたPBL型教育プログラム「10代のデジタルエチケット」に関する特別発表を行いました。
 はじめにCODAプロジェクト担当部長の湯口太郎より、これからのデジタル社会の中心を担う10代の若者たちに向けた主体的、自律的な著作権教育の重要性について発表し、CODAがオンラインで提供しているプログラム教材の紹介を行いました。
 続いて、本プログラムの一環として2023年10月に実施した「10代のデジタルエチケット キャッチコピーAWARD 2023」の審査結果発表イベントの様子や、授賞特典として同年12月に実施したクリエイターの制作現場見学会の様子を紹介しました。また、最優秀賞と優秀賞を受賞した高等学校の生徒2名にもご登壇いただき、本AWARDへの参加のきっかけや、取り組みを通じて得たこと、感じたことなどをお話しいただきました。さらに最優秀賞に選ばれたキャッチコピー「見えない世界でも良い人でありたい。」の考案背景をもとにアニメーション作家の今津良樹氏が制作した映像作品の初公開上映を行いました。
 続いて、本AWARDで審査員を務めた前田哲男氏(染井・前田・中川法律事務所弁護士)、大空幸星氏(NPO法人あなたのいばしょ理事長)、野田佳邦氏(大分県立芸術文化短期大学 情報コミュニケーション学科准教授)にご登壇いただき、井上祐巳梨氏(株式会社Barbara Pool代表取締役)をファシリテーターとしてパネルディスカッションが行われ、デジタルエチケットの意義や教育の可能性などについて活発な意見が交わされました。

CODA 湯口太郎による特別発表の様子
(左より)受賞者の石関彩絵さん、井口穂香さん
染井・前田・中川法律事務所 前田哲男氏
NPO法人あなたのいばしょ理事長 大空幸星氏
大分県立芸術文化短期大学准教授 野田佳邦氏
株式会社Barbara Pool代表取締役 井上祐巳梨氏

 プログラム午後の部は、衆議院議員の甘利明氏(自民党知的財産戦略調査会 顧問、コンテンツ産業振興議員連盟会長)よりキーノートスピーチとして、わが国のコンテンツ産業の海外流通促進における戦略と課題、そして海賊版対策における官民連携・国際連携・国際執行の重要性、また生成AIと著作権に係る規範に関し今後取り組んでいくべき課題についてご講義いただきスタートしました。

 続いて関係省庁の取り組みとして、梶原田鶴氏(警察庁生活安全局 生活経済対策管理官付 知的財産権保護対策官)より「知的財産権侵害事犯取締りの現状」と題して、各事犯の検挙状況の推移と被害が深刻化するインターネット上の模倣品や海賊版等の取締りに対する現状と課題についてご講演いただきました。次に、渡邊佳奈子氏(経済産業省 商務情報政策局 コンテンツ産業課長)より「コンテンツ産業政策の現状及び方向性について」と題して、わが国のコンテンツ産業の海外展開促進における、官民連携して目指すべきIP戦略とその環境整備や支援策について、また正規版流通において重要な海賊版対策と今後の課題への取り組みについてご講演いただきました。

衆議院議員 甘利明氏によるキーノートスピーチ
警察庁 梶原田鶴氏による講演の様子
経済産業省 渡邊佳奈子氏による講演の様子

 続いて、タイ、韓国、フィリピンよりそれぞれお招きしたルアンロン・ブンヤラッタパン氏(タイ知的財産局(DIP)知的財産権執⾏室 知的財産権執⾏開発システム管理グループ グループ⻑)、チョン・ソクチョル氏(韓国著作権保護院(KCOPA)侵害対応本部本部長)、ロウェル・セヴィラ・バーバ氏(フィリピン知的財産庁(IPOPHL)局⻑)、そして後藤健郎(ACA事務局長、CODA代表理事)が登壇し、CODAエンフォースメント担当部長の伊奈正晴をコーディネーターとして「デジタル時代のオンライン著作権保護におけるベスト・プラクティス」と題し、各国の侵害の現状や各種対策、および国際連携の必要性などについて事例紹介と共にそれぞれご講演いただきました。

DIP ルアンロン・ブンヤラッタパン氏
KCOPA チョン・ソクチョル氏
IPOPHL ロウェル・セヴィラ・バーバ氏
ACA/CODA 後藤健郎
CODA 伊奈正晴
講演の様子

 最後に、「デジタル化・グローバル社会におけるIPビジネスの最新動向」と題して、前田哲男氏(染井・前田・中川法律事務所 弁護士)、白倉伸一郎氏(東映株式会社 上席執行役員 キャラクター戦略部担当 ドラマ企画制作部ヘッドプロデューサー)、後藤健郎(ACA事務局長、CODA代表理事)によるパネルディスカッションが行われました。本シンポジウムでこれまでに議論された海賊版の被害状況や現行の対策を踏まえ、CODAで実施する国際執行プロジェクト(CBEP)における最新の取り組みや国際連携の継続的な必要性、グローバル展開におけるIPビジネス現場での実際の取り組みや今後の課題、海賊版対策における知的財産権に係る国内外の著作権法改正の動向など、日本コンテンツの保護と正規版流通をめぐる知財戦略について幅広くディスカッションを行いました。

染井・前田・中川法律事務所 前田哲男氏
東映株式会社 白倉伸一郎氏
ACA/CODA 後藤健郎
コーディネーターの日経経済新聞社 岩澤明信氏
パネルディスカッションの様子

 グローバル化やデジタル化の進展に伴い、国際的な不正商品の流通や違法アップロードによる被害が経済や文化の発展を阻害する大きなリスクとなる中、一方でファスト映画アップローダーへの多額の賠償命令や違法漫画サイトの摘発など、コンテンツの適正利用を後押しする機運も高まっています。さらに、急速に発展する生成AI技術と知的財産権に係る課題など、新たな局面を迎える知財戦略においては、官民連携とともに国際連携、そして消費者に向けた広報啓発や教育啓発がより一層重要となっています。
 今回のシンポジウムは、各界の有識者からコンテンツ産業の成長を目的とした最新の取り組みや動向をご紹介いただき、これからの知的財産権のあり方について議論を展開する大変意義深い機会となりました。

【プログラム】

特別発表 

パネルディスカッション
「10代のデジタルエチケット キャッチコピーAWARD2023」
・湯口 太郎(コンテンツ海外流通促進機構(CODA)プロジェクト担当部長
・井口 穂香氏(新潟県立高田高等学校1年)
・石関 彩絵氏(広尾学園高等学校3年)
「今求められるデジタルエチケットと教育とは」 
・ 前田 哲男氏(染井・前田・中川法律事務所弁護士、不正商品対策協議会(ACA)監事)
・大空 幸星氏(NPO法人あなたのいばしょ理事長)
・野田 佳邦氏(大分県立芸術文化短期大学 情報コミュニケーション学科准教授)
<ファシリテーター>・井上祐巳梨氏(株式会社Barbara Pool代表取締役)
キーノートスピーチ・甘利 明氏(自由民主党知的財産戦略調査会 顧問、コンテンツ産業振興議員連盟 会長)
関係省庁の取り組み  「知的財産権侵害事犯取締りの現状」
・ 梶原 田鶴氏(警察庁 生活安全局 生活経済対策管理官付 知的財産権保護対策官)
「コンテンツ産業政策の現状及び方向性について」
・渡邊 佳奈子氏(経済産業省 商務情報政策局 コンテンツ産業課長)
事例紹介  「デジタル時代のオンライン著作権保護におけるベスト・プラクティス」
<事例紹介> 
・ルアンロン・ブンヤラッタパン氏(タイ知的財産局(DIP)知的財産権執行室 知的財産権執行開発システム管理  グループ グループ長) 
・チョン・ソクチョル氏(韓国著作権保護院(KCOPA)著侵害対応本部本部長)
・ ウェル・セヴィラ・バーバ氏(フィリピン知的財産庁(IPOPHL)局長)
後藤 健郎(不正商品対策協議会(ACA)事務局長、コンテンツ海外流通促進機構(CODA)代表理事)
<コーディネーター>・伊奈 正晴(コンテンツ海外流通促進機構(CODA)エンフォースメント担当部長)
パネルディスカッション  「デジタル化・グローバル社会におけるIPビジネスの最新動向」
・前田 哲男氏(染井・前田・中川法律事務所弁護士、不正商品対策協議会(ACA)監事)
・白倉 伸一郎氏(東映株式会社 上席執行役員 キャラクター戦略部担当 ドラマ企画制作部ヘッドプロデューサー)
・後藤 健郎(不正商品対策協議会(ACA)事務局長、コンテンツ海外流通促進機構(CODA)代表理事)
<コーディネーター>・岩澤 明信氏(日本経済新聞社 サイバーセキュリティーエディター)

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CODAについて
CODA(一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構)は、2002年に日本コンテンツの海外展開の促進と海賊版対策を目的として、経済産業省と文化庁の呼びかけで設立されました。音楽、映画、アニメ、放送番組、ゲーム、出版などの日本が誇るコンテンツは、日本の国際プレゼンス向上や経済成長の一翼を担っています。デジタル技術の普及が進む今日、巧妙化する著作権侵害から日本のコンテンツ産業を守り、その発展を図ることが一層重要になっています。その中でCODAは、国内外の関係政府機関、団体、企業と叡知を結集し、権利侵害への直接的、間接的な対策や広報啓発活動などに取り組むことで、オンラインを含めた海賊版の抑止や摘発に貢献しています。具体的な事業内容はhttps://coda-cj.jp/activity/から。

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