著作権侵害 ブラジル「アニメ作戦」第二弾および関連対策により日本アニメ海賊版16サイトが閉鎖

 ブラジル現地時間2024年4月25日、ブラジルにおける日本アニメの悪質な海賊版3サイトがCODA会員社の刑事告発(※1)によって摘発されました。
 3つの海賊版サイトは、近年その被害拡大が問題視されている「海外発海外向け」の日本コンテンツの海賊版サイトです。日本IPからのアクセスをブロックして日本の権利者に侵害が発見されないような措置(ジオブロッキング)を施し、日本アニメに現地語であるポルトガル語の字幕を付けてブラジル視聴者向けに公開し、それぞれ広告収益を得ていました。

 今回の一斉摘発は、2019年よりブラジル政府が継続的に実施して大きな成果を挙げる官民協力による海賊版サイト対策「404作戦」(※2)の一環です。その作戦の中でも、日本アニメに特化して取り締まる「アニメ作戦(Operation Animes)」(※3)の第二弾として実施されました。第一弾は2023年2月から3月にかけて実施され日本アニメの海賊版サイト36サイトが閉鎖されています。

 アニメ作戦第二弾をめぐっては、2023年9月、東映アニメーション株式会社、東宝株式会社、株式会社バンダイナムコフィルムワークスの3社が、ブラジルで日本のアニメを侵害する複数の海賊版サイトについてCODAを通じて刑事告発を行いました。その結果、2サイトおよび関連する1サイトの合計3サイトが閉鎖されました。これら3サイトと別の1サイトについて現在も捜査が継続しています。
 また、事前調査に並行して明らかになった情報を基に、2024年3月から別の複数のサイト運営者に対するノック&トーク(直接交渉)を実施した結果、animeshouse.net、animesbr.cc、meuanime.ioの3サイトおよび関連する10サイトの合計13サイトが閉鎖され、今回CODAの関与の結果により閉鎖されたサイトは合計16サイトとなりました。

アニメ作戦第二弾の政府ポスター

 これら16サイトの直近3カ月(2023年11月~2024年1月)の月間平均アクセス数は約2,100万に上り(※4)、同期間におけるブラジルのアニメ侵害サイト上位20サイトのうち7サイトが閉鎖される結果となりました。
 また、16サイトのドメインのうち、交渉により既に11ドメインの任意提出(譲渡)を受けており、現在、これらサイトへのアクセスは、CODAが開設した閉鎖を通知するページへ自動的に誘導されています。残るサイトについても譲渡を受けるべく交渉を継続していきます。

家宅捜索の様子
animeshouse.netトップページ(一部画像加工)

 アニメ作戦第二弾では、CODAが侵害対策の実効性強化を目的とした国際連携の一環として、韓国の著作権海外振興機構(COA)との協働が実現しています(※5)。今回の作戦は、CODA会員社からの刑事告発による3サイトのほか、COAが刑事告発を行ったウェブトゥーン侵害5サイトを加えた計8サイトを対象とする統合作戦として、ブラジル法務・公安省(The Ministry of Justice and Public Security:MJSP)のサイバー作戦研究所を通じて、統合作戦・情報総局との調整により捜査が実施されました。

 今回ブラジルにおける一斉摘発およびこれに先立ち実施されたノック&トークにより閉鎖に至った16サイトをはじめ、日本コンテンツの海賊版サイトの蔓延が問題視される中南米地域において、日本コンテンツの正規事業者が正規品の流通に向けた健全な市場を実現するためには、これらの海賊版サイト対策が必要不可欠です。
 CODAは、引き続き現地執行機関などと緊密に連携し、海外においてもコンテンツが適正に保護される健全な正規流通促進のための効果的な取り組みを実施してまいります。
 また、日本コンテンツのファンの方々には、海賊版サイトや不正にアップロードされた動画を視聴する行為が、作品を作り出すクリエイターや権利者の利益を損ね、コンテンツの創造サイクルを破壊することにも繋がるという事実をぜひ知っていただきたいと考えます。多くのファンが正しくコンテンツを楽しむことで、マンガ・アニメはさらに進化していくことを認識していただき、そのためにも、海外においてもファンのもとへ正規コンテンツが届けられる健全な市場の実現を目指し、今後とも積極的に事業を推進してまいります。

 なお、この活動は、経済産業省受託事業の一環として行われました。

※1:criminal referral。犯罪が疑われるため被疑者を捜査して欲しいと現地の警察に対し捜査を求めるもの
※2:2019年から始まったブラジルにおける官民協力による著作権侵害対策作戦は「404エラー(page not found)」にちなんで、ブラジル司法省により「404作戦」(Operation 404)と命名され、これまでの6回の作戦により、2,580件のサイトブロッキング、747違法アプリの削除、20州において152件の家宅捜索が実施されている
※3:ブラジル法務・公安省による「アニメ作戦」第二弾に関するニュースリリース(2024年4月26日公開))
https://www.gov.br/mj/pt-br/assuntos/noticias/segunda-fase-da-operacao-animes-contra-pirataria-e-realizada  
※4:2023年11月~2024年1月 SimilarWebデータ参照
※5:参考リリース「知的財産権保護機関、韓国COAとブラジルLtahubがCODAに来訪」
   https://coda-cj.jp/news/1630/

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CODAについて
CODA(一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構)は、2002年に日本コンテンツの海外展開の促進と海賊版対策を目的として、経済産業省と文化庁の呼びかけで設立されました。音楽、映画、アニメ、放送番組、ゲーム、出版などの日本が誇るコンテンツは、日本の国際プレゼンス向上や経済成長の一翼を担っています。デジタル技術の普及が進む今日、巧妙化する著作権侵害から日本のコンテンツ産業を守り、その発展を図ることが一層重要になっています。その中でCODAは、国内外の関係政府機関、団体、企業と叡知を結集し、権利侵害への直接的、間接的な対策や広報啓発活動などに取り組むことで、オンラインを含めた海賊版の抑止や摘発に貢献しています。具体的な事業内容はhttps://coda-cj.jp/activity/から。

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