お知らせ 生成AIサービスによる著作権侵害の現状と権利保護に関する声明

 CODAは、現状の生成AIサービスの状況を踏まえ、生成AIの開発やサービス提供を行う事業者に対し、以下を求めます。

  1. 既存の著作物に酷似する生成物が出力されていないか、十分な調査を実施・継続し、既存の著作物と同一または酷似する画像・映像の生成を未然に防止すること。
  2. 1の調査、または権利者からの申し立てを踏まえ、酷似するものが出力されている状況であるなら、CODA会員社のコンテンツを無許諾で学習対象としないこと。
  3. 権利者からの要請、相談には誠実に対応すること。

 近年、海外の生成AI事業者を中心に、生成AIサービスが次々と発表されています。AI技術は、作業の効率化やクリエイティブ活動の支援など、大きな可能性を持つ技術です。
 しかし、AIが社会に安心して受け入れられるためには、コンテンツやクリエイターの権利を尊重することが不可欠です。国境を越えて展開される生成AIサービスであっても、日本の著作物やクリエイターの権利は当然に尊重されなければなりません。

 しかし現状の生成AIサービスにおいては、看過できない問題が確認されています。

  • 日本の著名な著作物そのもの、もしくはそれに酷似する画像/映像が出力される。
  • 特定の著作物を直接指定していない、全く関係のないプロンプトであっても、既存の著作物に酷似した画像/映像が出力される(ユーザーが気付かぬまま著作権侵害に加担する危険性)。
  • 当該AIサービスに出力された画像/映像の内容について質問すると、特定の著作物名を回答する(生成物と既存の著作物の結び付きが確認できる)。
  • 米国の著名な著作物については出力されにくい傾向が見られる(何らかの対策が講じられている可能性)。

 仮に生成物が公開されていないとしても、そのことを理由に、「ユーザーの私的使用の範囲」と問題を片づけることはできません。既存の著作物に酷似した生成物を出力しているのは生成AI事業者のサービスであり、このようなサービスを多大な影響力を持つ生成AI事業者が広く一般に提供していることが問題の本質です。

 AI における学習については、日本の著作権法第30条の4を根拠に、一定の場合には「非享受目的の利用」として許容されるとの見解が存在することは承知しています。しかしながら、現状では、学習対象が具体的な出力として再現され、既存の日本コンテンツそのもの、またはそれに酷似する画像/映像が生成されています。このような生成をもたらす学習は「享受目的の利用」に該当するものであり、学習には非享受目的の側面があるとしても、実質的に享受目的と併存している状態にあると考えられます。
 したがって、現状の多くのサービス運用においては、学習過程で行われる複製行為そのものが、著作権侵害に該当し得ると考えます。
 また、米国著作権法の観点からも、現状の多くの生成AIサービスの出力は、原著作物に新しい表現や意味を加え、原著作物の利用とは目的・性質が実質的に異なるものになっている「トランスフォーマティブ(変容的)」な利用とは認めがたく、そのような生成が既存の市場や潜在的な市場の経済的価値に損害を与える可能性があることから、著作物の公正な利用(フェアユース)には該当しないと考えます。そして、そのような生成をもたらす学習行為についても同様であると考えます。

 著作権制度において、著作権者から異議が出た場合に事後的に対応すれば侵害責任を免れるという制度は存在しません。著作物を利用する際には、事前の許諾を前提とすべきものです。生成物が既存の著作物と結び付いていることが技術的に認識可能であるならば、少なくとも、事前許諾を得ていない著作物については、出力段階でフィルターを設けるなど、問題を未然に防ぐ仕組みを整備することが生成AI事業者の責任です。

 なお、日本政府においても、「著作物の利用については、著作権者の許諾が原則であることが国内法・条約上とも明確であり、許諾なき利用が生じている現状は看過できない」との見解が示されています。

 最近も、生成AIを利用して作成・発表された生成物において、ユーザーが意図していないにもかかわらず、既存の著作物との類似性が指摘され、問題視される事例が複数報道されています。こうした事態は、生成AIの活用に伴うリスクとして認識されており、結果として生成AIの利用をためらわせる要因にもなっています。

 生成AIは、人間の創作を尊重し、支援するために用いられるべき技術です。既存の著作物を無断で利用し、その表現に酷似した画像/映像を生成することは、著作者の権利と創作の基盤を損なう重大な問題です。
 既存の著作物に酷似した画像/映像が、権利者の許諾なく学習・生成・出力されている現状は、著作権侵害に該当します。CODAは、この認識が正しく共有されることを求め、ここに改めて表明します。


CODAについて
CODA(一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構)は、2002年に日本コンテンツの海外展開の促進と海賊版対策を目的として、経済産業省と文化庁の呼びかけで設立されました。音楽、映画、アニメ、放送番組、ゲーム、出版などの日本が誇るコンテンツは、日本の国際プレゼンス向上や経済成長の一翼を担っています。デジタル技術の普及が進む今日、巧妙化する著作権侵害から日本のコンテンツ産業を守り、その発展を図ることが一層重要になっています。その中でCODAは、国内外の関係政府機関、団体、企業と叡知を結集し、権利侵害への直接的、間接的な対策や広報啓発活動などに取り組むことで、オンラインを含めた海賊版の抑止や摘発に貢献しています。具体的な事業内容はhttps://coda-cj.jp/activity/から。

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