京都府警察サイバー対策本部サイバー捜査課および京都府伏見警察署は、2026年7月28日、世界最大級のトレントサイト「Nyaa(nyaa.si)」を通じてテレビドラマを権利者に無断でアップロードしていた相模原市在住の男性を著作権法違反の疑いで逮捕しました。
男性は、2026年、NHKが著作権を有するドラマ「ミッドナイトタクシー」のデータを最初に流通させる第一アップローダー(Seeder)として、Nyaaにデータの所在を示す情報(トレントファイル)を掲載し、P2P(ピアツーピア)という通信技術を用いたファイル共有ネットワークにおいて不特定多数のユーザーにデータを共有していたほか、同様にNHK作品を中心とする多数のドラマなどを共有していた疑いが持たれています。
「トレントサイト」の特徴は、サイトのサーバーにはデータ本体は一切保存されず、データの所在を示す情報(トレントファイル)のみが掲載されている点にあります。ユーザーはサイト内でトレントファイルを検索し、これをファイル共有ソフトで読み込むことで、P2P技術によりユーザー同士の端末間でデータを直接やり取りします。
この仕組みは、大容量のデータを高速かつ効率的に共有できる一方、中央サーバーを介さないなどの海賊版対策を回避しやすい技術的・構造的特徴から、海賊版コンテンツの流通に悪用されるケースも多く、著作権侵害の温床となっていることが長年指摘されてきました。2023年に刑事摘発された日本人向けアニメの最大級海賊版サイト「B9GOOD」の運営者も、コンテンツの入手元としてNyaaを利用していた旨を供述しており、Nyaaはインターネット上の著作権侵害の源流の一つとなっていると考えられています。
また、Nyaaに代表されるトレントサイトを利用し、P2Pネットワークにおいてデータを最初に流通させる発信者を「第一アップローダー(Seeder)」と呼びます。流通開始時点では、第一アップローダーだけが完全なデータを保有しており、他のユーザーは第一アップローダーからデータを受け取り、それをさらに他のユーザーに共有することで拡散させていきます。つまり、P2Pネットワークにおける著作権侵害の拡散を生み出す「起点」となるのが第一アップローダーであることから、CODAでは第一アップローダーの特定・摘発を極めて重要視してきました。
特にNyaaは、数多く存在するトレントサイトの中でも世界最大規模のアクセスを集めるサイトであり、2025年7月~2026年6月の月間平均アクセス数は約3,000万に達しています。そのうち日本からのアクセス数は全体の約50%を占め、利用者の多くが日本国内に所在している可能性が指摘されてきました。Nyaaでは、世界的に人気の高い日本のアニメなどのコンテンツに関する情報が日々大量に更新されており、最新のドラマやアニメが放送・配信直後に共有される状況も多く見受けられるなど、日本コンテンツへの被害は依然として深刻な状況が続いています。
こうした背景から、CODAはNyaaを利用した著作権侵害に対しさまざまな対策を実施してきました。2019年には、CODAとGoogleが連携し、NyaaのトップページをGoogle検索結果から削除する対策を実施しています。
またCODAは、2021年度より経済産業省の支援を受けて実施している「国際執行プロジェクト(CBEP)」において、アップローダーの特定を目的としたNyaaの調査を開始しました。その過程で、CBEPに協力する一般社団法人日本ハッカー協会が開発した解析ツールを用いて被疑者情報を取得することに成功し、その後、京都府警察の捜査により被疑者の特定に至りました。京都府警察の捜査を受け、CODAにおいて日本の被害権利者の取りまとめを行い、今回の逮捕に至りました。
CODAは今回の第一アップローダーの逮捕を、トレントサイトに関連する権利侵害に対する画期的な事例として受け止めています。CODAでは今後の取調べや刑事裁判で明らかになる事件の詳細を注視しつつ、引き続き著作権の適正な保護に努め、同様の侵害行為に対する有効な対策を講じてまいります。
また、京都府警察サイバー対策本部サイバー捜査課および京都府南警察署は、本件の第一アップローダーの逮捕に先立ち、2025年、Nyaaに掲載されたトレントファイルへのリンクを掲載するリーチサイトを通じてCODA会員社が著作権を有するコンテンツ(※)を無断でアップロードしていた二次アップローダー3名をそれぞれ摘発しています。今回の一連の摘発は、第一アップローダーだけでなく、二次アップローダーについても刑事責任が問われることを示すものであり、トレントサイトを利用した著作権侵害に対する大きな抑止効果が期待されます。
なお、トレントサイトで利用されるファイル共有ソフトの多くは、ダウンロードを行うと同時にアップロードが行われる仕組みとなっています。そのため、利用しただけでも著作権法違反に問われる可能性があります。さらに、アップロード行為だけでなく、海賊版コンテンツであることを知りながらダウンロードする行為についても著作権法違反となる可能性があります。
クリエイターの創意工夫とたゆまぬ努力によって生み出された作品に敬意を払い、文化の健全な発展を支えるためにも、コンテンツは正規のルートを通じてお楽しみいただくとともに、海賊版コンテンツを利用しないようお願いいたします。
なお、この活動は、経済産業省受託事業の一環として行われました。
※:Re:ゼロから始める異世界生活 3rd season(株式会社KADOKAWA)、九龍ジェネリックロマンス(株式会社バンダイナムコフィルムワークス)、機動戦士Gundam GQuuuuuuX(株式会社バンダイナムコフィルムワークス)
CODAについて
CODA(一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構)は、2002年に日本コンテンツの海外展開の促進と海賊版対策を目的として、経済産業省と文化庁の呼びかけで設立されました。音楽、映画、アニメ、放送番組、ゲーム、出版などの日本が誇るコンテンツは、日本の国際プレゼンス向上や経済成長の一翼を担っています。デジタル技術の普及が進む今日、巧妙化する著作権侵害から日本のコンテンツ産業を守り、その発展を図ることが一層重要になっています。その中でCODAは、国内外の関係政府機関、団体、企業と叡知を結集し、権利侵害への直接的、間接的な対策や広報啓発活動などに取り組むことで、オンラインを含めた海賊版の抑止や摘発に貢献しています。具体的な事業内容はhttps://coda-cj.jp/activity/から。