海賊版サイト・アプリの運営者3名について刑事立件
ハノイ市公安経済警察部は、2026年8月1日、日本の映画・アニメ・ドラマなどを無断で配信していた海賊版サイト「Phim Nè(phimne.live)」の運営者であるドンナイ省在住のベトナム人男性1名(23歳)、および海賊版アプリ「Phim Nè(phimne.app)」の運営者であるダナン市在住のベトナム人男性2名(いずれも29歳)について、著作権および著作隣接権を侵害する罪により刑事立件したことを発表しました。
今回の刑事立件に関して、CODAの代表理事である後藤健郎は、「今回の刑事摘発は、これまで実現が困難であったベトナムにおける日本コンテンツ保護の実効性を示す重要な事例であるとともに、今後の権利行使のあり方を大きく前進させる重要な前例になると考えている」とコメントしています。
ベトナムは、2026年4月30日に米国通商代表部(USTR)が公表した「2026年特別301条報告書」において、同年唯一の優先外国(Priority Foreign Country:PFC)に指定されました。同報告書では、ベトナムについて「アジア太平洋地域でオンライン海賊版の発生率が最も高いとの報告がある」と指摘されています。また、CODAが2026年1月に公表した「2025年・オンラインで流通する日本発コンテンツの海賊版被害額調査」では、ベトナムにおける映像コンテンツの海賊版消費経験者の割合は74.2%に上るなど、海賊版の利用が高い水準にあることが判明しています。さらに、CODAが実施しているフォレンジック調査では、多数の海賊版サイトの運営者がベトナムに所在していることも確認されており、同国における海賊版被害は極めて深刻な状況にあります。
今回の刑事立件は氷山の一角であり、本件を契機として、ベトナムにおける日本コンテンツの保護が一層強化されることを期待しています。
CODAは今後も、権利者をはじめ、海外の捜査機関や関係機関との連携を一層強化し、国境を越えた権利侵害に対する日本コンテンツの保護に向けた取り組みを推進してまいります。
海賊版サイト「Phim Nè(phimne.live)」は2025年6月に開設され、登録会員数は1,090人に上り、9万回を超えるアクセス(月間最大アクセス数は2万回)を集めていました。同サイトでは侵害ソースの入手方法として自動データ収集ツールなどを使用し、日本、米国、ベトナムの映画作品などをベトナム語字幕や吹替付きで、権利者の許諾を得ることなく配信していたとされています。また、海賊版アプリ「Phim Nè(phimne.app)」では、アプリを通じて作品を無断配信し、15分間の無料視聴後に利用者から会費を徴収していました。2025年初頭から2026年4月までの間に、計6,451件の支払いを通じて、約4億1500万ベトナムドン(256万円相当)の不当な利益を得ていたことが明らかになっています。

日本コンテンツを侵害する海賊版サイトは世界中で多くのアクセスを集めており、近年は特にベトナム発の海賊版サイトの急増が国際的な問題となっています。一方で、これまでに日本コンテンツを侵害する悪質な海賊版サイトに対し、日本政府、およびCODAをはじめとする民間団体、企業等よりベトナム政府に適切な措置を講じるよう要請していましたが、刑事摘発は実現していませんでした。
こうした中、本件はベトナムにおいて日本コンテンツに対する知的財産権侵害が刑事事件として摘発された初めての事案です(CODA調査)。ベトナムにおける日本コンテンツの権利保護に向けた画期的な成果であり、今後の同種事案への対応の進展や抑止効果につながることが期待されます。
本件は、2026年5月、ベトナムのホー・クオック・ズン副首相が知的財産権侵害の撲滅・防止・対処の徹底を指示する首相公電に署名し、全国一斉の知的財産権侵害取締りキャンペーンが開始されたことを契機として実現したものです。
CODAは、2026年5月、ベトナムにも拠点を有する法律事務所IP FORWARD および同所の提携パートナーであるベトナム現地の法律事務所MNB LAW FIRMと連携し、ハノイ市公安経済警察部による捜査に協力する形で、海賊版サイト「Phim Nè (phimne.live)」で配信されていた日本作品の被害状況の調査・取りまとめを実施しました。また、株式会社トムス・エンタテインメントおよび東宝株式会社らは侵害作品の権利確認や、捜査に必要な資料・書類の提出など、刑事摘発に向けた協力を行いました。
2026年6月22日に実施された公安による一斉家宅捜索では、パソコン、電子機器、記録媒体などが押収され、その後の取り調べにおいて運営者らは、自らが当該サイトおよびアプリを運営していたことを認める供述をしています。本件は現在、刑事事件として正式に進行しており、公訴提起に向けた更なる捜査が進められる見込みです。CODAは、今後の刑事手続についても引き続き協力してまいります。
なお、この活動は、経済産業省受託事業の一環として行われました。
CODAについて
CODA(一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構)は、2002年に日本コンテンツの海外展開の促進と海賊版対策を目的として、経済産業省と文化庁の呼びかけで設立されました。音楽、映画、アニメ、放送番組、ゲーム、出版などの日本が誇るコンテンツは、日本の国際プレゼンス向上や経済成長の一翼を担っています。デジタル技術の普及が進む今日、巧妙化する著作権侵害から日本のコンテンツ産業を守り、その発展を図ることが一層重要になっています。その中でCODAは、国内外の関係政府機関、団体、企業と叡知を結集し、権利侵害への直接的、間接的な対策や広報啓発活動などに取り組むことで、オンラインを含めた海賊版の抑止や摘発に貢献しています。具体的な事業内容はhttps://coda-cj.jp/activity/から。